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2008spain11

2019/04/01
■ハーツはどこ?

 本日は快晴なり。
 昨日寝たのがいつもより早かったせいか、朝7時過ぎには目が覚めました。
 ねもにとっては異例なほど早い目覚めです! 
 スペインで過ごすのは、今日の夕方6時の飛行機出発まで。時間は有効に使わないとね。
 外はようやく明るくなってきたくらい。歩く人もほとんどありません。日曜日だし、今日はこんな感じかな。

                             
                                朝7時過ぎ。ようやく夜明け

 まずは朝ごはんを食べるべく、階下に降りていきました。


レストラン入口             店内                    豪華な朝食ビュッフェ         今日も控えめ(?)

 入口の真っ白なドアは、装飾レリーフが豪華で、なんだか気後れするくらいです。
 店内は直線的な家具と食器がモダンな感じ。
 ビュッフェコーナーは豪華。大きなトースターの左右に、ハムやチーズ、スライストマト、卵料理、お食事パンや甘いデニッシュなど数種、ジュースにシリアルにフルーツにヨーグルトに、と完璧に揃っていました。

 しかしですね、サーブしてくれたコーヒーがいけません。
 ぬるいんです。
 しかも、カップの半分くらいしか注いでくれません。くすん。
 時間も時間だからか、日曜だからか、お客さんは我々のほかに一組だけ。
 値段も高いし、これじゃお客さん来ないよ……感じが悪いこともないし、インテリアはいいのに、なんだか勿体ないなあ。

 食後は恒例のお散歩です。
 空港へのバス停を探しつつ、ホテルバイーアのツーリスモへ。
 あれ? まだ開いてない?
 マチルダの地球の歩き方によれば、近くのTEOFILO LLORENTE通りにもう一軒ある。
 Oficina de Turismo da Pedra(ガリシア語表記)の方に行ってみました。
 まだ開いてないかと思うほどしん、としていましたが、中にはスタッフがいるみたい。思い切って中に入ってみると、明るい声に迎えられました。
 スタッフは女性ふたり。ショートカットのお洒落な女性が、英語で話してくれました。
 この女性がとっても親切で楽しい人でした。
 「日本人なの!?」「うわあ、私、日本人に観光案内するのは初めてよ!」とおおはしゃぎ。
 「英語、よね?私あんまりうまくないんだけど」と言いながら、地図やパンフレットを出して、一生懸命説明してくれました。
 半日しかいられない、というのにあれもこれも教えてくれて、こっちの時間が心配になるくらい。
 ヴィーゴという町が大好きで、お客さんに紹介したくてたまらないって感じです。仕事とは言え、自分の町がそんなに好きになれるなんて、ちょっと羨ましかったな。


CARRAL通り              URZAIZ通り              町のどこからも港が見える       

 懇切丁寧な説明をひと通り拝聴し、一旦ホテルに戻りました。
 チェックアウトしてから荷物を預かってもらい、ロシナンテ号を返しに空港のハーツの営業所へ向かいます。
 大きなRua Urzaizを走り、その名もAvenida do Aeroportoに出ます。町中は車も少なく、得意のロータリーで少々迷っても簡単に方向修正できます。が、日曜日は交通規制があるようで、通ってはいけないレーンを走ってしまったりも……警察に見つからなくてよかったぁ。

 Avenida do Aeroportoは、町を出ると、田舎みたいにのんびりした緑の多い景色になります。
 やっぱり自然はいいなあ、なんて思いながら快適なドライブです。
 途中で、ガソリンスタンドに寄りました。ここもセルフではなく、働き者って感じの優しいおじさんがすっ飛んできて、ガソリン入れてくれました。15.03リットルで、20ユーロでした。
 そこを出るとぐーっと下り坂になり、やがて小さな飛行場が見えてきました。ヴィーゴ空港です。

 当然空港にカウンターがあると思い、近くに車を停めて空港建物に入ります。
 おやあ? ハーツがないぞ?
 AVISとかEurope Carのカウンターはありますが、肝心のHertzという看板がありません。
 えーおかしいなあ、と空港インフォメーションのおじさんに英語で話しかけたら「No.俺は英語は分からん」と言われてしまいました。
 がーん。ここ、一応国際空港なんじゃないのー?
 そこからはもう必死。
 身振り手振りを加えて「ハーツ、パーキング、Donde?」(なんてひどい……)と聞くと、「ここにはない」と言う。
 んじゃ、どこよ? あの駐車場かい? と外を指差すと「うむ」という感じ。
 よく分からないけど、空港にはカウンターはないらしい……どうやら来る時に見かけたでかい駐車場が怪しい。

 車に戻り、空港ビルのすぐそばにある「ハーツはここ!」という巨大な看板が貼ってある駐車場に行きました。
 本当にここがハーツの営業所なのかなあ。
 門の前にハーツの営業車は停まっているけれど、誰もいません。駐車場の入口も閉まっていて、中のプレハブみたいな事務所も開いてない感じ。
 どうも分からん。この時間は開いてるはずだったんだけどな。
 車から降りてみると、門のところに「こ、これ、使えるの?」と思うような、雨風にさらされて変色したブザーがあります。
 思い切ってぐいっと押すと、ビーッと鳴ったとともに、門が開きました。
 うわあ、門が開いた、と思ってたら恰幅のいいおじさんが出てきて、なにやらスペイン語でしゃべり始めました。よく分からないので、適当に英語で「ハーツの人?」と聞くと、「うんにゃ違う、警備のもんじゃ」と言っている(ようだ)

 えー、いったいどうするんだよう。

 ねもたちも困ってるけど、おじさんも困った顔して一生懸命説明してくれてる。
 英語スペイン語ニホンゴが入り混じる中、よくよく聞いてみると、
 どうも車はこの駐車場に停めていいらしい。
 そしてプレハブ横の鍵のかかったハーツのポストに、車のキーを入れておけばいいよ、ということらしい。

 えええー、そんなことでいいのー?

 そんなことですが、どうもそうだったようです。
 この後、ちゃんとハーツから請求書がやって来ました。全部スペイン語だったけど。
 内容もちゃんとしてましたし、うろうろ迷って期限を過ぎちゃった分は、加算されてませんでした。本当にそういうシステムになっているのです。考えてみれば、仮に傷とかついてても、ハーツはねものカード番号を握ってるから、取りっぱぐれはない、ということなんですな。

 皆さん、ハーツのヴィーゴ空港営業所で車を返却する際は、空港でカウンターなんて探してはいけません。
 空港手前のハーツの看板に従って、大駐車場の入口と思われるところで、一旦車を降り、勇気を持って呼び鈴を鳴らしてください。親切なおじさまが対応してくださいます。
 ――――しかし、借りる時はどうするんでしょうな。

 ということで、淋しいけれど、ロシナンテ号ともここでお別れです。
 よくここまで、ねもの迷ドライブによく付き合ってくれました。
 さすがはプジョー308、ヨーロッパ車の走りでした。重心が低いので高速でもふらつかず、足回りがしっかりしているから、石畳を走っても振動がシートに来ない。毎日運転していても疲れなかったのは、優秀な君のおかげだよ。
 最後のメーターは8,196km。6,904kmでセビリアを出発したので、1,292km走ったことになります。

 よく頑張ったね、ロシナンテ。お疲れさま。

                             
                                お疲れさま、ロシナンテ。


■ケルトの香り

 涙ながらにロシナンテと別れた我々は、歩いて空港に戻り、町に戻るバスを待ちました。

          
          空港建物前               バス停                  バス車内 

 バス停は空港建物の前にあります。なんでもない棒が突っ立ってるだけですが、空港内には液晶表示のバスの時刻表がありますので、ご安心を。確か15~20分に1本ぐらいはあったと思います。
 夕方にはここから出発するので、航空会社のカウンターの位置や、フライト情報をチェックしたりして待ちました。

 キレイなバスは、さっきロシナンテと一緒に来た道を、ゆっくりゆっくり帰って行きます。途中、RENFE(スペイン国鉄)の駅を通りました。外から見ただけですけど、結構大きな駅でしたよ。ポルトガルへの国際列車が停まるんですよね。いいなあ、列車の旅も捨てがたいよなあ。
 ねもたちはUrzaiz通りで下車。1.08ユーロでした。(安いっ)
 降りた場所から少し行くと、こんな像が交差点の中央にたってました。

                     
                    え?                     ……ええっ?

 確か、ツーリスモのお姉さんが、ここにマーメイドの像がある、って言ってたっけ。
 こ、これが、マーメイド?
 うううむ、アンデルセンの人魚姫を想像しちゃいかんのね。
 パンフの写真見て、あんましかわいくないなあ、って言ったら、お姉さんも苦笑いしてたっけな。

 ただ今の時刻は午後1時過ぎ。そろそろランチの時間でございます。
 Constitucion広場まで上がり、すぐ近く(昨日みたバス停の前)のDon Gregorioというカフェに入ってみました。

          
          Cafe Don Gregorio        バゲットサンド              ツナサンド 

 お客さんがよく入っていて、お店のスタッフも感じよかったから入ったのですが、ここは当たりでした!
 本当は他のお客さんが食べてるタパスが食べたかったのだけど、テーブルの上のメニューには載ってないし、どう注文したらいいのか分からなかったんですよね。なので、テーブルのメニューから、ねもはオムレツと生ハムのバゲットサンドを、マチルダはツナと卵とトマトのサンドイッチを注文しました。
 若いお姉さんが持ってきたバゲットは巨大。本当に一本分です。
 うわ、これは食べきれないわ……なーんて思ってたら、大間違い。おいしかったー!
 中身のオムレツも、生ハムもジューシーでおいしかったんだけど、何よりパンがおいしい。皮ぱりっぱり、しっかり固めのバゲットはねも好み。あんなにおいしいバゲットサンドを食べたことがありませんっ。いやあ、うまかった。
 マチルダのサンドイッチもおいしかったようですよー。
 お店のスタッフはよく見るとみんなすごく若い。中学生くらいの男の子もいて、家族経営みたいです。
 まあよくしゃべり、よく働くこと。どうりで店に活気があるのね。お客さんは家族連れもいるし、観光客らしき若者もいます。外のテラスでは、落ち着いた年配の女性が、優雅にワインをお召し上がりになってました。
 バゲットサンド、サンドイッチ、コーヒーで10ユーロ。ごちそうさまでしたー。

 ゆっくりランチを堪能して、時刻は午後2時過ぎ。3時半くらいに町を出れば飛行機には間に合うから、まだ時間がある。
 ツーリスモのお姉さまイチオシのカストロ公園へ行ってみようか。

          
          BAIX.PRINCIPE通り        山寺にでも向かうのでしょうか?   左の建物は廃屋みたいでオソロシかった 

 さっき見た変なマーメイドの交差点から、細い階段を上がります。地図を見ると、BAIX.PRINCIPE通りのようです。
 階段はかなり続きます。ずーっと登りで息が切れます。坂道は巻き道で先が見えません。この日はとってもお天気がよく、お散歩日和なのはいいのですけど、大変暑うございました。
 いつまで登らなきゃならないんだろう。やめようか……いやここでやめては勿体ない、と互いを牽制しつつ、頑張って登り続けました。
 途中、廃屋みたいな建物が並んでいて少々コワイかったです。どういうわけか、歩いている人がいません。
 本当にこの道でいいのかなあ、なんて不安になった矢先、こんな場所に出ました。

                             
                                緑の小道

 おお、いかにも高いところ(=展望台)に行きそうな道です。
 相変わらず人影がありません。少々ビビリながらも、先に進みました。
 すると、こんな景色が迎えてくれました。

             
           ヴィーゴ湾                          奥深い入江と可愛いらしい街並み   

 ひゃー、すごい。
 ツーリスモのお姉さんが力説してたのは、この景色だったのか。
 真っ青な空に真っ青な海。写真では立派な樹木がちょいとジャマしていますが、それは素晴らしい眺めでした。
 湾には牡蠣の養殖筏が浮かび、白く光る船が行き来しています。快晴の空を飛ぶカモメの声が、遠くにも近くにも聞こえ、やわらかな風がふんわりと流れていきます。
 なんて気持ちがいいんでしょう。
 しばし、脱力しました。

 地図によれば、ここは市役所の敷地のようです。
 上の写真で、緑の小道の向こうに建っているのが、市役所の建物でした。
 ではきっと、平日はもうちょっと賑やかなんでしょうね。日曜日なので、建物も電気ひとつ点いていない感じで、ガランとしていました。景色は素晴らしいけど、やっぱし少々怖いから、早めに移動しましょ。

 カストロ公園は、港から見て市役所の背後に位置しています。
 PRAZA DU REI に出て、駐車場を通過すると、また緑の丘が。
 はああ、また登りですか。

 階段の数に気が遠くなりながらも、ここまで来たら、登らずに帰るわけにはいきません。
 公園の入口には、大きなクルセイロが立っていました。

                             
                                Cruz de los Caidos

 なんで下半分だけピンクなんだい? シュミ悪いなあ、と思いませんか。
 この一件についても、ツーリスモのお姉さんが力説していました。
 ねものつたないヒアリング力のせいで、詳細はよく分からなかったのですが、以前何かのイベント(展覧会だか博覧会だか)にこのクルセイロが貸し出されたことがあったそうです。そのイベントが終わって帰ってきたら、こんなことになっていたのだとか。
 思わず「えーっ、そんなのってひどくない?」とニホンゴで言ったら、お姉さんも「そうでしょー?」って言ってました。(お互いニュアンスは通じていたように思われます)
 どうして借りたものに勝手に色をつけちゃうんだろう。
 あ、それとも、色をつけたのはこのクルセイロの作者だったのかな
 それにしても、標識みたいになっちゃって、なんだか勿体ないですよねえ。

 クルセイロを過ぎると、本格的に階段が始まります。でも、さっきまでの道と違って、お散歩している家族やカップルもいるし、木陰もあるしで少しホッとしました。

          
          またまた階段              丘の中腹のレストラン          カストロ公園からの眺め  

 公園からの眺めも素晴らしかったです。
 市役所より高い場所にあるので、遠くまで見渡せます。写真では分かりにくいですが、ヴィーゴのパンフレットにも載っている巨大な三つの碇が並んでいました。
 大事なモニュメントなんだと思うんですが、お子さま連れのスペイン人家族のお父さんが、「お、ここは昼寝できるぞお」と、碇の下の部分に寝っ転がってました。いいわねえ、大らかねえ。

 しばらく景色を堪能してたかったけれど、いかんせん暑い。久々に頭焦げそうです。
 下りは、木陰のお散歩道を歩いてみました。

                     
                    お散歩道                 ケルトの住居跡

 人が踏み固めて出来たような小道を歩いていると、本で見たことのある遺跡が目に入りました。
 円形に積み上げられた石の壁です。
 これは、ローマ以前にここに住んでいたケルト人の住居跡なのです。
 同じガリシアにあるヴィラドンガ遺跡や、バローニャ遺跡に比べたら、随分と規模の小さいものなんでしょう。でも、ガリシア関連の資料を探していて見つけた、武部好伸さんの『スペインケルト紀行』を読んで以来、クルセイロと同様に一度見てみたかったものだったんです。ここで出会えて嬉しかったです。
 円形の内法はそう大きくありません。ケルト人がどんな大きさの人々だったのか知らないのですが、それにしても随分こじんまりしています。どんな家が建っていたのか、想像もできません。当時は、技術上の問題から石を積むにも制限があったのかもしれないですね。

 日曜のヴィーゴは、お買い物もできませんし、カストロ公園はオススメです。
 地元の人もお散歩や、木陰での読書に来るような感じで、のんびりできます。

 帰りは市役所を通らず、大きな通り(たぶんPASEO ALFONSO ⅩⅡ)を使いました。
 ペスケイロ地区に入る途中で超フレンドリーな猫ちゃんと遭遇。
 にゃ、にゃ、と言いながら階段を急いであがってきて、ねもにすりすりっ。
 きゃー、猫ーーーーっっっ!(ねもは猫禁断症状中)
 すりすり、ころんころんもうたまりません。しばし我を忘れてしまいました。
 (そんなことで)またヴィーゴの株が、ぐんと上がったりして。だって……だってラブリー過ぎるんだもーん。

                     
                    ころりん。構って構って~。       もー。連れて帰っちゃうぞー。

 猫は置いといて。(いや、置いておけないのだが)
 重ねて書いちゃいますが、カストロ公園へは、大通りを歩く方が心配ないと思います。ツーリスモあたりから行くには市役所を通ってくるのが最短距離ですが、少々遠回りと思ってもたいしたことありません。市役所周囲は景色は抜群ですけど、日曜日は本当に淋しいところです。絶対で一人で歩かないとか、充分に気をつけてくださいね~。

                             
                カストロ公園で。読書中のご主人の脇で大人しく座ってたワンちゃん。面白い柄だったので。


■さよなら、ガリシア

 ホテルに戻り、キレイな個室を借り(モダン過ぎて、一瞬どう水を出したらいいのか分からなかった)、預けてあった荷物を受け取ると、ゴロゴロと坂を上がってPOLICARPO SANZ通りへ。ヴィーゴ市内は日曜の交通規制があります。なので、空港行きのバス停は日曜と平日では違うようです。予めツーリスモで聞いておいた方がいいですよ。
 循環バスだから、とさっき空港から帰って来たバス停から乗ろうとしたら、男前な女性ドライバーに「あっちよ」と言われて、慌てて道の反対側に移動。

                             
                                SANZ通りのバス停

 ツーリスモで教えてもらったバスの番号は、C9A。バス停にはC9としか書いてありませんでしたが、大丈夫みたい。Aは空港(Aeroporto)行きという意味なのかな。
 ま、乗る時にドライバーに「Aeroporto?」と確認すれば間違いありません。
 バス会社はVITRASA社で、料金は1.08ユーロ。
 SANZのバス停から空港までは、25分ほどの旅。いよいよガリシアを、そしてスペインを離れる時が近づいてきました。

                     
                    ヴィーゴ空港              行き先表示とチェックインカウンター

 ただ今午後の4時。
 出発2時間前きっかりの到着です。
 さっそくチェックインして身軽になろうと思ったら、カウンターに人がいません。
 あれー?
 人が並んでるカウンターもあるけれど、それは別の便。
 ううむ、どうしたものか。
 見れば、不安そうにカウンターを眺めているエルフラ待ちらしき人々が、ちらほらいます。
 しょうがないなあ、スペインタイムってやつかい?
 結局カウンターが空いたのは、それからかなり経ってからでした。(そして飛行機の出発も遅れた)

 搭乗案内が出たのが、すでに5時50分過ぎ。
 あのう、6時5分発では?
 バスみたいに、みんなが乗ったらぷーっと出発できるんすか?
 なんてちっさいことを気にしているスペイン人ではありません。まったく慌てる気配なく、いたって普通にチケットをもぎってご案内です。
 ご案内といっても、搭乗出口から数歩歩いて、また地べたからご搭乗するだけなんですけどね。

                     
                    のんびりした空港             エンピツ飛行機

 と、賑やかな一団が飛行機周りで騒いでます。
 待合室にいた時から、賑やかだなあと思っていた団体さまがいたのですよ。
 メンバー構成は、10代後半くらいの若者と引率の先生って感じ。みーんなお揃いの赤いポロシャツを着ています。
 飛行機が初めてなのか、旅行が初めてなのか、みんな舞い上がってます。パイロットに窓を開けてもらって、何かの旗(キリストさまの絵だったような)を持ってもらって、飛行機と一緒に写真撮ってます。
 大人も子供も、きゃあきゃあ、わあわあ、実に楽しそうです。

 おいおい、そんなことしてたらまた飛行機遅れるじゃないかぁ。

 そのうち、メンバーのひとりが、ガイータを演奏し始めました。
 ええ、飛行機のタラップの、すぐその場所でです。

                             
                          ガイータを演奏する人。右側は空港スタッフ。楽しそう。

 どうみても、先生格の人です。
 せ、先生? 飛行機、遅れますが?

 こりゃいったい何なんだー?
 メンバーのポロシャツを見ると、ベネディクトなんとかって書いてある。それに、Youth Sydneyってプリントされたワッペンもしている。よく分からないけど、ベネディクト修道会だか学校だかのの生徒たちで、シドニーで開催されるユースのイベントに出席するということなのかな。
 ……ヴィーゴからパリへ行って、はるばるオーストラリアまで飛ぶのか。大変だわー。

 いやでもまあ、帰りの空港でガイータを聞けるなんて思わなかったなあ。
 しかも目の前でふうふう息を吹いて演奏してるんですよ? ねもは思わず、じっと観察してしまいました。
 ブローパイプをくわえ、両手でチャンター(旋律管)の指穴を操り、小脇に抱えた袋を腕で押したり戻したりして、実に難しそう。なのに、先生とっても楽しそうに演奏しています。壮行の音楽です。見事な演奏です。
 今でも、あの時のガイータの音は耳に残っています。
 目を閉じれば、水色の空に、白い雲に、ガイータに、派手な赤いポロシャツ(笑)
 飛行機が遅れたって、最後の最後までガリシアのケルトを味わえたなんて、とってもラッキー、だったんだよね。きっと。

 飛行機は意外にも10分少々の遅れで出発。
 あっという間に飛び立って、雲の上へ。ねもたちはガリシアから離れました。
 また来ることはあるのでしょうか。
 ――――なぁんて。たぶん、来るね。絶対だね。だって、パドロン産のピミエントス、忘れられるわけがないもん。

                             
                                ガリシアの大地。飛行機の窓より

 あ、そうそう。飛行機の中は遠足バス状態でした。
 水平飛行に移るや、すぐに先生がチョコ配って歩いてました。乗ってる人全員に。
 もう笑顔全開で「どうぞどうぞ」って感じで。マチルダも思わずお相伴に預かってました。ははは。


■ふたたび、パリへ

 さて、帰りはエールフランス便だったので、軽食が出ましたー!わーい。

                             
                                おいしかったな~

 チーズサンドでした。
 コッペパンサイズのパンに、押し麦や何かの穀物がトッピングされてました。パンがかなりしっかりしている上に、冷やされていたため、ハードさが増してました。でもおいしー。ねもはアップルジュースと一緒に堪能いたしましたよー。

 パリまではほんの2時間のフライトです。
 パンを食べて、お腹があったかくなってひと寝入りしたら、眼下にはジオラマみたいなパリの町が広がっていました。

                       
                       飛行機から録ったパリ。シテ島とノートルダム寺院、分かります? 

 地図で見るとおりにセーヌ川が流れ、凱旋門から星のように道路が広がっているのが分かります。エッフェル塔やコンコルド広場、シテ島のノートルダム寺院がまるで模型のように見えて、面白い。
 スペインからの帰りに、こんなパリ観光が出来るなんて今まで気づかなかったなあ。きっとぐーすか寝てたんだろうなあ。なんて勿体ない。
 こうして見ると、パリは大きい。ぎっちり建てこんだ市街地が窓いっぱいに広がっています。
 さすがはヨーロッパの玄関。
 ヴィーゴの町なんてあっという間に見えなくなっちゃったもんなあ。

 シャルルドゴールの到着したねもたち、随分遠ーい場所に降ろされました。
 エンピツ飛行機から地べたに降りて、そこからは延々バスに揺られました。成田なら確実に第一ターミナルから第二ターミナルへ移動してる距離です。
 田舎から飛んできたちっさい飛行機なんて、サテライトに付けてもらえないのね。
 と思ったけど、よく考えてみると、あんなチビ飛行機じゃ、ジャンボの高さに設定しているであろう、飛行機からサテライトへの通路が取り付けられないね。脱出用シュートみたいに、ものすごい傾斜になっちゃうよね。(しかも登りだ)

 ターミナル2Dでバスから降ろされた我々は、今度はCDGVALに乗ってターミナル2Fへ移動です。
 こう広くちゃ、移動も大変ですって。
 CDGVALが出来たからまだいいものの、Fターミナル内だけでも充分広いからねえ。ヴィーゴ空港が一個入っちゃうんじゃないかねえ。ふうう。

 そして、広いシャルルドゴール空港、広いだけでお店はぱっとしません。
 ユーロ高じゃ化粧品も買えないし、高くてもセンスのいい雑貨屋さんとかもないし、せいぜい食品売ってる店で細々と買い物するぐらい。ブランド好きにはいいかもしれないけどさー。
 レストランは高いし、カフェは混んでるし、パブリックスペースは別に面白くないし、もちっとなんとかしてくれい。
 (あ、成田もね)

 ねもたちはお腹いっぱいだったので、最後のお土産ショッピングタイムにしました。
 各自、自由行動して適宜集合、ということで。
 今回もロクなお土産のなかったスペイン。
 ねもは仕方なく塩バターキャラメルを買い漁りました。
 でもね。仕方なくとは言えこのキャラメル、とってもおいしいんですよ。ヘタにスペインのベタ甘なまずい菓子なんか配るより、一般の方には絶対喜ばれます。前回も大量に購入してばら撒いたけど、かなり好評でした。
 後は、おうちでお留守番してるOttoに、見たことないウォッカを購入。
 スペイン、フランスときたらワインのが良かったのかもしれないけど、Ottoは別にワイン好きじゃないのですよ。だったらゆっくり飲めて、日本で見かけないような変わったものがいいかしら、と思って。
 本当はスペインの赤い大地に立つ黒い牛の看板で有名なブランディーにしたかったのですが、あれ、ものすごくボトルが大きいんですよ。値段も安いし、大量に飲む人向けにはとってもいいお土産になりそうなんだけど、重くて持って帰れないんだよねえ。お土産用ミニボトルもあるけど、ねもでも飲めそうなほどちっさいから、おうちお土産にはちょっと貧相なんだよねえ。

 成田行きのAF278便は定刻どおり出発。
 ねもたちの夢の時間を否応なく終わらせにかかってます。
 機内食は2回。
 パリ時間、夜中の1時前にご夕食、日本到着前にご朝食でした。それぞれ、日本時間だと朝食、ランチ代わりの軽食といった時間ですね。

                     
                    こちらがご夕食でございます      そしてこちらがご朝食でございます

 夕食は、グリルした野菜のタルト、鶏肉のフリカッセタイムソース ポテトグラタン カリフラワーブロッコリー添え、カマンベールチーズ、ヨーグルト、マンゴーパッションフルーツケーキでございました。
 野菜のタルトは、野菜がマリネされていたのでさっぱりしていて、口においしかったです。食べ過ぎて気持ち悪くなったけど。
 メインは普通、パンとチーズはおいしかったなあ。さすがに夜中だったせいか、ケーキの記憶は飛んでます。たぶん、そんなに食べなかったんじゃないかなあ。おいしかったら憶えてるもん。

 朝食は、チーズとハムの盛り合わせ、フルーツケーキ、フルーツのシロップ漬け、ジュースにフレッシュチーズ。
 やっぱりチーズがおいしかったな。あとはもう眠いし疲れたしでなんだか……といいつつ結構食べてたと思います。

 そして今日も護送される犯罪者みたいな気分になる灰色の成田空港にご到着。
 ぼうっと灰色の廊下を歩き、帰国のスタンプを押してもらって旅は終了。

 あーあ、終わっちゃったなあ。

 感傷に浸るふたり。
 あれだけ一生懸命計画しても、旅は始まってしまえばあっという間に終わるもの。
 はああ、このまままた飛行機でどっか行っちゃいたい。

 そうは言っても、もう金も休暇もありませんて。
 しかたない、帰るか。
 と思ったものの、リムジンバスの時間にはまだ間がある。

 うーん? なんか小腹減った?
 また杵屋に寄ろうかとも思ったけれど、まだそんなにお腹すいてない。
 なんか甘いもんが食いたいー。甘いもので旅の成功をお祝いしよう!

 ということで、不二家レストランでイチゴのデザートとチョコパフェをがつんと食うふたり(……もう)
 それですっかり盛り上がり、疲れてるのか疲れてないのか、腹が減っているのかいないのか、もうすっかり錯乱状態です。
 あまりに楽しかったので、おかしくなってたに違いありません。

                     
                    またこんなもの食べて……成田の不二家レストランにて。

 そしてふたりは、すっかり重くなったカラダと重い荷物を引きずって、おうちに帰りましたとさ。

■遥かなるガリシア

 スペインを車で縦断する!

 一大決心とともに始まった旅は、セビリアのサンタ・フスタ駅のハーツの駐車場から始まりました。

 高速道路の舗装の良さに驚いたり、迷路のような町中に翻弄されたり。
 猛暑でハンドルが握れないほどだったり、豪雨と濃霧に悩まされたり。
 ガイドブックでは紹介されない小さくてかわいらしい町を訪れたり、温泉でのんびりしたり。

 暑くて暑くて暑いアンダルシアから、鳥が舞う天空のエストゥレマドーラ、肌寒いカスティーリャ・イ・レオンを抜け、穏やかな気候のガリシアへ。真っ赤な大地は、緑したたる入江へ、紺碧の空はやさしい水色の空へと変化していきました。

 冷たいガスパチョに、ボデガの上質なワイン、ビエイラのグリルにエビの鉄板焼き。
 車の中で齧った青りんご。
 おいしくておいしくて、1日に2皿も食べてしまったパドロン産ピミエントス。

 やっぱり食ではガリシアに軍配があがるかもしれません。
 いや、見たこともない景色、意外と日本に接点があるという点でも、本当にガリシアには驚かされてばかりでした。
 (だって、東京都庁の御影石はガリシア産なんですよ?)
 旅の終わりにヴィーゴを選んで、ちょいと拍子抜けしたこともあったけれど、あのヴィーゴ湾の眺めは、そんなものを全部吹き飛ばしてくれました。
 終わりよければすべて良し、と言うとおり、今回の旅もやっぱり「ああ楽しかった!」におさまりました。

 次はマヨルカ島でリッチなリゾート旅を、と思っていたけれど、想像以上に楽しかった車旅に、どうやらふたりはハマってしまったようです。1200キロを7日間でこんなに楽しく走破できるなら、ドライバーねも・ナビ師マチルダのコンビでどこまででも行ける、ということに気づいてしまったのです。
 またロシナンテ号を連れて、まだまだ知らないスペインに会いに行きたくなってしまいました。

 今度はガリシアから入って、ア・コルーニャでさんざん食べて、北部沿岸のパラドールとACホテルをを泊まり歩いて、ピコス・デ・エウロパに登って、FEVEを車で追いかけてバスクへ、なんてツアーはどうかな?
 いやいや、コスタ・ブランカも捨てがたい。バルセロナからバレンシア、ムルシアを通ってコルドバまで行っちゃおか。

 ……なんてね。
 さてさて、お次はどうなりますことやら。ねえ、マチルダ。
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2008spain10

2019/04/01
■潮の香りにつつまれて

 目覚めて外を見たら、晴れてます! あったかいです
 窓を開ければ、カモメたちの賑やかな声と、爽やかな潮風。思い切り深呼吸したくなります。
 お天気が良ければ、支度もはかどるというもの。ウキウキ身支度をして、朝食をとりにレストランに向かいました。

           
           朝食ビュッフェ              くるくる回るトースター         またこんなに食べてるし…。

 グランドフロアのレストランは、やはりモダンなセッティング。ここもACホテルとよく似たインテリアです。
 品数は豊富。ハムやソーセージ、チーズに卵料理にカットフルーツ。パンは甘いものとお食事パン、カットケーキ、シリアルがそれぞれ数種。ジュースやミルクなどなど、ちゃんとしたホテルの朝食メニューが揃ってました。カフェ・コン・レチェも美味しかったですよ。
 ここのトースターは、くるくる回るお盆にパンをのせて焼くタイプ。面白いので食パンをのせてみると、結構な速さで回ります。一周目はほとんど焼きが色がつかず、こんなんで焼けるのかな、と思ってたら、2周目にはすっかりキツネ色になりました。
 「そろそろ胃も疲れてきたなあ」なんて言いつつ、またたらふく食すふたり。美味しそうなものを目の前にして、引き下がるわけにはいかないんです。
 あ、そうそう。この時、ふたりして袋入りのバターケーキを貰ってきたんです。貰ってきたのはいいけれど、途中でお腹がいっぱいになり、じゃあ非常食にしよう、と持ち歩き、結局日本まで持って帰りました。
 で、ふたりともお家で食したのです。見た目ただのスポンジケーキなので、ねもは大して期待せず、写真も撮らずにぱりぱりっと袋を開けて食べてしまったんです……最後までね。おいしかったんですー! 禁断のバターたっぷり、小麦粉ぎっしり。ちょい甘めではありますが、しっかりした食感も塩のきいたバター味もたまりません。
 マチルダは帰国翌日、牛乳と一緒に食べて悶絶したそうです。もう一個貰って来ればよかった、って。
 次回、見かけたら絶対手に入れて、みなさんに紹介いたしますね~。

 またしてもぱんぱんのお腹をさすりながら、お散歩に出ました。
 ア・コルーニャが「ガラスの街」と呼ばれる所以の、マリーナ大通りを目指します。

                    
                     わりあい危険。オルサン海岸      白波立ってますー。 

 本日のオルサン海岸は、波が強い! あちこちに白い波頭が立ってます。気温もまだ低めで、ビーチに寝転ぶ人なんていません。波がかかるほどの岩に乗っかったりして、面白がって写真を撮ってたら、水着姿でお散歩していたおばあちゃまに話しかけられました。
 当然、スペイン語(ガリシア語?)なので、何言ってるのかさっぱりわかりません。
 少しだけスペイン語の単語が分かるマチルダによると、「姉妹なの?」と聞いているのかも、とのこと。悲しいかな「いや、友達です」という受け答えもできず、適当にうん、うん、と頷いていたら、おばあちゃまは勝手に納得して、「じゃあねえ」と手を振って、海に向かっていきました。今日は海はやめた方がいいと思うけどなあ。
 なんかよく分からなかったけど、珍しい東洋人に声を掛けてみたかったのかな。地元の人だとしたら、我が町自慢とか聞いてみたかったな。ホント、言葉が分からないっていうのは淋しいものです。


マリーナ大通り             ア・コルーニャ港            メンデス・ヌニェス庭園         庭園から見たガラスの街

 オルサン海岸を背にして、港に向かいます。この辺りは、海に突き出た半島のちょうど喉の部分に当たるので、土地の幅が狭く、反対側の海岸にもすぐに出られます。
 港に沿って走る、一際広い道路がマリーナ大通り。通り沿いには、外壁が一面ガラス窓に覆われたビルが立ち並んでいます。晴れていれば、日の光がキラキラと反射して、それは美しいのだそうです。入港する船の上から見たら、それは綺麗でしょうね。ねもたちが歩いていた時間は曇っていたため、ガラスのビルが立ち並ぶ普通の通りに見えました。残念。
 ガラスのビルの反対側は、メンデス・ヌニェス庭園です。きれいに手入れされた芝生や、つる薔薇の絡まるアーチがあって、コンクリートやガラスの町にあってはホッとする空間です。整然と並ぶ椰子の木が、南国っぽい開放的なムードを醸し出していました。
 ア・コルーニャ港は工業港です。大きなガントリークレーンが立ち並び、ストックヤードにはコンテナが積みあがっています。当然ながら中には入れません。写真の撮影も禁止です。港の名前が書かれた壁画の前で写真を撮っていたら、通りすがりの人が、「ここは撮影禁止だよ」とやさしく教えてくださいました。あいや、恥ずかしい。

 まだまだ歩き回りたいア・コルーニャですが、時刻は11時半。そろそろチェックアウトしなければ。
 感じのよいレセプションでスムーズにチェックアウトし、すぐに車も出してもらって、出発です。
 土曜日の交通規制にひっかかり、路地を抜けるのに少々手間取りました。一方通行なうえにあちこちで通行止めになっていて、にっちもさっちも行かなくなってしまったのですが、親切な警察官に無理を聞いてもらって、なんとかマリーナ大通りに入れました。

 時刻は12時過ぎです。
 腹ごしらえをしてから、お参りに向かおうかね。

 さっき食べたばかりじゃないか、という声はふたりには聞こえません。
 大好きなエルコルテ・イングレスに向かいます。が、大通りのどこで降りればエルコルテの前の道路に出られるのかが分からない。マリーナ大通りが高架になるところのすぐ脇に建っているのは見えるので、適当に目星をつけて降りてみるのだけど、一方通行に振り回されてなかなか到達できません。
 ええい、今回こんなことばっかりじゃ。この旅最後のエルコルテ訪問になるかもしれないんだ。諦めるもんかー!
 20分ほど迷いましたかね、どうにか到着いたしました。
 そしたら、今度は駐車場が混んでる。しかも3階建てぐらいの大きな地下駐車場で、ぐるぐる回されて目が回りそう。
 こんなに混んでるとは。どこかが空いたらすっと入らないと、永遠に車を停められん。
 と、おあつらえ向きなことに、エレベーター前の車が動き出しました。よおし、入ってやるぞう。
 しかしですねえ、狭いんですよ。駐車スペースも、通路も。
 左側に柱立ってるし、後ろの車は密着してるし、買い物客はうろうろしてるし。
 泣きを入れながら何度も切り返し、渾身のパーキング。
 ああ、こんなとこでエンストしなくて良かった。

 ア・コルーニャのエルコルテは大きいです。
 8、9階建てだったかな、スーパーマーケットがあり、服飾雑貨、家庭用品、電化製品なんでもあります。折りしもセールをやっていました。ふたりとも、いろんな売り場にひっかかるひっかかる。
 散々見て回ったくせに、結局何も買わず、当初の目的であるカフェテリアに向かいました。
 お店は手前がカフェテリア、奥がレストランです。
 駐車場も混んでましたが、こちらもかなり混雑。
 ですが、入口のカフェテリアメニューのところにいたら、カッコイイお兄さんがすぐに席に案内してくれました。あんまりお腹に余裕がなかったので、ラザニアとミックスサラダを注文。絶対1ポーションが大きいから、それぞれ半分こでちょうどいいでしょ。

                    
                     ラザニア                  ミックスサラダ 

 果たして巨大なラザニアが出現。
 サイコロ状のお野菜が入っていて見た目にもきれい、お味もまずまず。
 そしてまたしても巨大なミックスサラダ。野菜もりもり食べられます。ツナもオリーブもがんがん入ってます。
 このふたつに、お通しのパンと水で20.95ユーロ。
 エルコルテのカフェのいいところは、無理せず、みんなが食べてまずまず、と思う味を出してくれるところ。日本の老舗デパートにある、お好み食堂みたいですね。
 お食事後はキレイな個室を借りて、下のスーパーでお買い物をしました。明日は日曜日。まずお店はやってないでしょう。そろそろお土産を買っておかないと。
 品揃えが良いのでついついあちこち見学しちゃいます。
 水とお土産用チョコレート、エンサイマダを購入して、出発。駐車場は2時間で3.15ユーロでした。

 マリーナ大通りを進んでN550に入り、すぐにAP9に乗って、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します。
 今日は晴れ。水色の空には雲はあるけれど、気持ちのいいドライブ日和です。

                             
                               ガリシアの空は水色


■聖地へ サンティアゴ・デ・コンポステーラ

 ア・コルーニャからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでは車で45分ほど。
 快調に飛ばして町に到着。
 相変わらず地図のないチームロシナンテ。駐車場探しに苦戦しております。
 旧市街の周りをぐるぐる回って、ようやく見つけた駐車場はこんなとこ↓

                             
                               急坂の途中の駐車場……ちょっと伝わらないかしら

 うーん、やっぱし写真ではうまく伝わらないかな。
 大通りから落っこちていくような坂道、Rua das Trompasの中ほどにありました。ホント、今回急坂多いです。もーマニュアルドライバー泣かせなんだから。

 サンティアゴ・デ・コンポステーラは、ガリシアにあって唯一日本人にも知られている町なのではないでしょうか。
 サンティアゴは、キリスト教文化を代表する町です。イスラム教文化を代表するグラナダ、キリスト教・ユダヤ教・イスラム教文化が融合するトレドに並ぶスペイン史上最も重要な3都市のひとつです。
 北スペイン編でも触れましたが、サンティアゴ巡礼とは、キリスト3大聖地にも数えられるサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼の旅です。10世紀に始まり、12世紀に最盛期を迎えます。中世においては生存者が半分、若しくは3分の1とも伝えられる厳しい旅でした。
 サンティアゴとは「聖ヤコブ」を、デ・コンポステーラは「星の降る原野」を意味します。名前の由来は、殉教した聖ヤコブの遺骸を、星の導きで発見したからだとか、聖ヤコブの遺骸を運んだ弟子たちが、星の導きでこの町に着いたから、いやそもそも、コンポステーラはラテン語のコンポストゥルム(墓地)なんだとか、諸説あるようです。
 いずれにしても、この聖人の墓を拝むために、多くの人が命と財産を投げ打って巡礼の旅に出たということで、それは現代にも続いているのです。
 旧市街はユネスコの世界遺産に登録されています。500年の歴史を持つサンティアゴ大学を擁し、世界中からキリスト教徒が集まるガリシアの州都なのです。

 そのサンティアゴのカテドラルと言えば、かなり巨大なはず。町のどこからでも見えるかと思いきや、そうはいきませんでした。車で丘から降りてきた時には見えていた二つの尖塔は、旧市街の入口からはまったく見えません。
 こんもり盛り上がった旧市街を上がっていけば見つかるだろう、ぐらいの気持ちで歩き始めました。


城門                   大学、かな?               人がたくさん              あっ、尖塔!

 城門をくぐり、旧市街に入ると、中世の街並みが広がります。ヨーロッパらしいどっしりとした石の町です。
 町角の行き先表示を頼りに歩き始めると、徐々に人が増えていきました。建物の間から尖塔が見えたかと思うと、不意に大きな石の塊が現れました。
 これが、サンティアゴ・デ・コンポステーラのカテドラルです。

                          
                        ばばーん。サンティアゴ・デ・コンポステーラのカテドラル。大きいですー。

 写真で伝わるでしょうかねえ。ものすごく大きいんですよ。オブラドイロ広場をぐーっ下がって下がって、なんとかフレームに入るくらい。人のサイズを見ると、建物の大きさが分かると思います。
 階段を上って見上げると、バロック様式のファサードはいっそう圧倒的。おびただしい数の彫刻は、苔むしているのではと思うほどの古い石の色。古色蒼然とした大聖堂です。
 入口付近からは、オブラドイロ広場に立ち並ぶ、5つ星のパラドール・オスタル・ドス・レイス・カトリコスや、市庁舎が見渡せます。

           
           カテドラル入口              パラドール               市庁舎(ラショイ邸)

 さあ、中に入ってみましょ。

           
           栄光の門(修復中)           カテドラル内部             ボタフメイロ(香炉)

 カテドラルに入ると、まず訪問者を迎えてくれるのは、12世紀名匠マテオによる「栄光の門」……のはずだったのですが、なんと修復中でした。この門に佇む巡礼者の姿をした聖ヤコブの像に、巡礼者が手をついて祈りを捧げる姿を見たかったのに、うう残念。
 意外と人がいます。そして、賑やかです。うるさいぐらいです。「はとバス観光」みたいに小旗を立てて歩き回る団体あり、走り回る子供たちありで、騒がしいったらありません。
 これは本当に意外でした。敬虔な祈りの場は静かなもの、と勝手に思っていたのですが、どうやらここには当てはまらない様子。同じように大きくて、観光客が多い大聖堂でも、ノートルダムがホーリーな雰囲気に包まれていたのとはまったく違いました。
 天井からは、これまた豪奢な装飾の大きな香炉(ボタフメイロ)がいくつも吊り下がっています。礼拝儀式の際には、人の頭より遥かに大きなそれを、教会堂の袖廊の端から端へ、ボールト(アーチ状の天井)の頂点の高さまで振り回すのだそうです
 ボタフメイロの重さは54キロ、大昔には一度綱が切れたことがあるのだとか。ひいい、オソロシイ。
 白煙を上げながら振り回されるボタフメイロは、風切り音も相まってものすごい迫力らしい。明日は日曜日。ミサの時間には振り回されるのでしょうか。見てみたかったなあ。
 主祭壇はキンキラのチュリゲラ様式。見てるだけでお腹いっぱいになります。ここの主祭壇は、背後の階段から上がり、ヤコブさまのマントにキスを捧げることが出来ます。
 というのは帰ってから知ったことで、ねもたちは訳も分からず中に入り、そこにお座りになっている神父様にドギマギしながら目礼し、マントに手を置かせていただくのがせいぜいでした。

                    
                     主祭壇入口              内部から見た様子。ガラスで仕切られている 

 いやしかし、賑やかなカテドラルです。ざわざわしているから、じっと雰囲気に浸るということができません。ミサの時には厳粛な雰囲気に変わるそうですが、どうなんでしょう。あ、そういえば、パリのノートルダムではたまたまミサに行き会ったのでした。だから人が多くても荘厳な感じがしたのかな。

 早々にカテドラルを退出し、キンターナ広場に出ました。
 いつもこうなのか、たまたまお祭りだったのか、キンターナ広場には市が立ち、こちらもすごい人出です。
 昨日のテレビで、雨のサンティアゴをライブ中継していました。あの豪雨の中、レポーターが興奮気味にあちこちインタビューして回っていたから、やっぱりお祭りか縁日だったのですかね。

           
           キンターナ広場             スパイスの屋台            スウィーツの屋台。おいしそう!

 スパイスやチーズ、タルタ・デ・サンティアゴと思われるケーキを売る屋台など、賑やかで楽しい! 見ているだけでもウキウキします。すると、どこからかバグパイプの音色がしてきました。

                            
                               ガイータを奏でる人々

 え? スペインでバグパイプ? と思いますよね。
 ねもも、バグパイプはスコットランドやアイルランドのもの、と思っていました。つまりケルトの民族楽器だと思い込んでいたわけです。
 そうなんです。
 ガリシアは、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、マン島、コンウォール、ブルターニュと並ぶ、ケルト文化圏に属しているのです。ガリシアにはかつてケルト人が暮らしていました。やがてローマ人の支配を受けて、ケルト色はすっかり薄れてしまったものの、今なおガリシア発のケルト・ミュージックというものが存在しているのです。
 実はバグパイプ自体はケルト音楽だけに使われているのではなく、名称も形状も様々なものが、ヨーロッパ全土、北アフリカ、アラビア半島、ウクライナ、さらには西インドあたりでも使われているのだとか。
 ガリシアのものは、gaita(ガイータ)と呼ばれる、小さめのバグパイプなんだそうです。
 ねもはバグパイプを生で見たことはなかったし、もちろん音の違いなんて分かりません。でも、何故か懐かしい感じのするガイータの音は、アイルランドの荒涼とした原野に似合う物悲しい音ではなく、軽やかでお祭の雰囲気に合う楽しい音でした。やはりラテンの血が混ざっているからでしょうか。

 市で甘いものでも買って、立ち食いしても楽しそうだったのですが、ちょっと疲れていたので、カフェに入りました。
 なんだかあまり英語で疎通できず、チーズケーキを頼んだつもりが、タルタ・デ・サンティアゴが出てきました。ま、土地の名物ですしね。いいんですけど。

                             
                               タルタ・デ・サンティアゴ

 タルタ・デ・サンティアゴは、サンティアゴ・デ・コンポステーラの伝統菓子です。アーモンドパウダーを使ったバターケーキで、表面にシナモンで十字架が象られています。結構ずっしりとしたお菓子なんです。
 お店によっても違うんでしょうが、ここのはちょっとボソボソしてました。疲れている時には向かないかも。口の中の水分を全部持っていかれますからね。なんとかカフェ・コン・レチェで流し込みましたけど、もちっと美味しいのを食べてみたかったな……。

 カテドラルの近くにはツーリスモがありました。この日は結構混んでいて、外まで観光客が列をなしていました。
 小さな町にしては、スタッフの数が多い。さすがは世界的観光地ですね。ですがいかんせん観光客が多いんでしょう。大忙しで大変そうでした。でも、みんなとっても親切。地図ひとつもらうだけでしたが、笑顔がとても素敵で、気持ちが良かったです。

                             
                               Oficia de Turismo de Galicia

 ぷらぷら歩きながら駐車場に戻ったのが、午後6時半。
 まだまだ日の高いスペインですが、そろそろこの旅の最終目的地へと出発しましょうか。


■ヴィーゴで乾杯!

 サンティアゴ・デ・コンポステーラからヴィーゴまでは、AP9ことautopista del Atrantico で一気に南下。距離にして88km、1時間ほどのドライブです。
 あまり憶えていないのですが、町を出てN550からAP9にのるまでは、そう迷わず行けたと思います。

 地図を見ると、AP9は内陸のサンティアゴから、件のピミエントスの産地、パドロンを通ります。
 このパドロン、ピミエントスの産地としてだけ有名なわけではありませんでした。聖ヤコブが福音を伝えるためスペインにやって来た時、彼の乗る船がここに漂着したといわれているのです。船をつないだと言われる石がサール川の橋のたもとにあり、スペインで初めて説教したと伝えられる山、聖ヤコブの山もあります。彼がユダヤの王アグリッパⅠ世に処刑された後、その遺骸を乗せた船もたまたまこのパドロンに辿りついたとか。真偽のほどは分かりませんが、そう信じられているのは事実です。
 そんな由緒あるパドロンを通過すると、ポンテペドラを経由して、リアス式海岸の入り江の付け根に沿うように真南に下りていきます。その後、ヴィーゴ湾の上に架かる橋を通って、ヴィーゴの町に入ることになります。
 こんな大きな入り江に架かる橋って、どんな橋なんだろう。と、日本にいる時から、ここを走るのを楽しみにしていました。


サンティアゴ近郊            海が見えてきた!           ヴィーゴ湾に架かる橋         海の上を走ってます

 サンティアゴでは曇りぎみだったのが、だんだん晴れてきました。この時間になると、西日が猛烈に眩しくて、サングラスなしには運転できません。
 アップダウンやカーブを繰り返し、走り始めてから30分ほどで、海が見えてきました。
 それからいくつか小さな橋を渡り、さらに30分ぐらい走ったところで、前方にレインボーブリッジみたいな橋が見えてきました。
 これがヴィーゴ大橋です。(勝手に命名するなってば)
 大きな塔から、いくつものワイヤーが張られ、そこに4車線道路が走っているのです。空は晴れてるし、海は青いし、気持ちよかったー! マチルダも興奮気味に写真撮りまくってます。
 橋の上からは湾に浮かぶ牡蠣の養殖筏も見えました。牡蠣はヴィーゴの名物です。
 橋を渡りきると、道路は下り坂になり、車の数も増えてきました。いよいよヴィーゴに到着です。

 ヴィーゴ(Vigo)は、ガリシア州最大の町、そしてスペイン最大の漁港がある町です。地図を見ると、海に向かって町が開けているのが分かります。
  古くはケルト人、そしてローマ人が住んだヴィーゴは、その立地の良さから、ヴァイキングやイギリス海賊の襲撃をたびたび受けます。さらにスペイン継承戦争、半島戦争などの戦場のひとつとなりながらも、ガリシア随一の都市へと発展を続けます。
  リアス式海岸のヴィーゴ湾の沖にはシエス諸島があります。白沙青松のビーチがあって、夏は海水浴客で賑わうのだそう。ナチュラリストのビーチもあるそうな。ちょっと覗いてみたかったですなあ。
 ア・コルーニャやオウレンセ同様、日本人観光客にはあまり有名ではないヴィーゴは、やはり事前情報があまりありませんでした。 ねもたちも、ここをゴールに決めたのはパリへの直行便が飛んでいるから、それだけです。あ、あと、ACホテルグループのセレクションホテルがあったから。 生牡蠣が有名だけど、ねもは食べられないし、日程からいけば、本当はア・コルーニャから帰りたかったくらいなんですよね。

 ヴィーゴの町に降りたはいいけど、またしても道が分からない。適当に走っていたら、港に出てしまいました。
 ここでまたナビ師マチルダの出番です。日本の観光局からもらっておいたヴィーゴの市街地図を睨み、車から降りて交差点まで道路を確認しにいってくれたりして、現在地を割り出してくれました。
 本日のお宿、AC Palacio Universalは、海沿いのCanovas del Castilloがぐるっと陸に方向転換する場所にあります。
 うまく近くまで行けたのですが、さあここを曲がるぞ、と思ったら、事故のため通行止め。車が天井を下にして引っくり返っていてびっくりしました。あまりにきれいに引っくり返っていたので、一体どんな事故だったのか想像もつきません。乗っていた人はどうだったのでしょうか。

 ホテルは、かつての漁師町ペスケイロ地区のすぐそばにありました。


AC Palacio Universal      海に面して建つホテル        ベッドはACスタイル           バスルームはタイルの色が素敵

 ホテルの車寄せにロシナンテを停めて、チェックイン。ロビーはだだっぴろくてモダンで豪華。
 部屋は……うーん、これがセレクション?
 広さはふつうのACホテルぐらい。ベッドサイドには小さな一人掛けソファがあり、スーツケースも広げられるし、セレクションと思わなければ、充分な広さ。でも、上級ラインとするとちょっと見劣りするなあ。と思っていたら、部屋の隅にホコリが。ううむ、掃除が甘い。よろしくないな。そのうえ、スリッパとバスローブが一組しかなかった。うううむ。(電話で「バスローブちょうだい」が伝わらなくて困った……それはねものいんちき英語のせい?)
 バスルームも同様で、そんなに広くない。でも、タイルの色が茶系で素敵だったし、ガラスの洗面台もモダンでかっこいい。可動式シャワーで、バスタブも普通の広さ。排水、湯量ともに問題なし。アメニティもACスタンダードな石鹸、シャンプー、ボディジェル、ボディローション、歯磨きセットが揃っていたし、大きなドライヤーもあり。
 このほか、朝食のこと(コーヒーぬるかった)もあって、全体にソフトがイマイチに感じました。アヤリスに比べるとかなり落ちる感じ。
 旅の最後に、と思って、それなりに奮発したのになあ。ACホテルに信仰さえ抱いている我々としては、すごーく残念。

 どうにか新たなバスローブ&スリッパをゲットし、ひと休みしてから、夕食をとりがてらお散歩に出かけました。


ペスケイロ地区への坂道       ペスケイロ地区             Porta Do Solかな         広場は賑やか

 数少ない資料から、賑やかな漁港の町、と想像していたのですが、土曜だからか、ペスケイロ地区は静かでした。夕食をとるレストランを探しながら歩きましたが、夜の9時過ぎというのにどこもまだひっそり静まり返っています。ア・コルーニャのバル街を想像していたので、拍子抜けです。
 可愛らしい石畳の坂道を上がっていくと、小さな広場がありました。ここは比較的賑やかで、お散歩したり、バルのテラス席でお喋りしていたりしています。大通りに行けば、バスが走り、それなりに人もいるのですが、全体におとなしい感じがしてしまいました。人の多いサンティアゴから来たせいでしょうか。

 9時過ぎになって、ようやく日が沈み始めました。スペインで迎える、この旅最後の夕日です。

                             
                               大西洋に沈む夕日

 夕日は町のなにもかもをオレンジ色に染めていました。
 灼熱のセビリアを出発してから1200km。ロシナンテ号とねもたちは銀の道を走り、ガリシアを横切って大西洋に辿りつきました。セビリアのハーツの駐車場を出るときには、なんて長い道程と思ったけれど、今こうしてヴィーゴに立っていると、全てが夢の中の出来事のようで、大変だったとか、疲れたとか、まるで感じられません。この楽しい夢の中を、まだまだどこまでも走って行きたい気持ちでいっぱいでした。
 明日の夕方には飛行機に乗ってパリに発ちます。
 んじゃ、最後にガリシアビールを一杯やりますか!

 ガイドブックに載っていたレストランは、営業しているのかしてないのか分からない状態だったので、店のおじさんが感じよかったMESON ”LOS ARCOS”に入りました。ねもたち、プルポ(タコ)にもオストラ(カキ)にもそんなに興味ないので、ピミエントスさえ出してくれればよかったんです。
 見て回った感じでは値段も平均だし、お店も可愛らしかったし、名前もいいなあと思ったんですよね。ARCOSは、アーチの意味。昨日空に架かる虹色のアーチを見たばかりの私たちに、ぴったりではありませんか。

                    
                     MESON LOS ARCOS       お店の入口  

 店内は明るく、黄色を基調とした落ち着いたマリンテイスト。やさしげなおじさまがオーダーを取りに来てくださいます。
 あまり頼みすぎて食べきれないのは困るので(というか、そういう失敗を続けているので)、食べたいメニューを絞りました。
 まずは、バカの一つ覚えのピミエントスと、エビのグリル、あと、写真でおいしそうだったコロッケをオーダー。そして、ガリシアと言えばの、エストレーリャビール。
 ねも、ア・コルーニャで他のお客さんが言う言葉を聞いてこっそり憶えたんです。普通の瓶ビールは銘柄名をオーダーしているようだったのだけれど、生ビールはどうも違う。ビールといえばセルベッサだと思ってたけど、それも違うようです。
 耳を立てて聞いていると、どうも「カーニャ」って聞こえる。よおし、折角の機会、言ってみよう。
「カーニャください」(……くださいはニホンゴ……)
 するとおじさま、ニッコリ笑って頷きました。やたー、通じたー。これでまたひとつ語彙が増えたぞー。


エストレーリャビール          ピミエントス               エビのグリル              コロッケ

 カーニャこと、エストレーリャビールは、ビールがあんまり得意じゃないねもでも飲めたぐらい。割と軽めで飲みやすい味。ビール好きのOttoがいたら、きっと水みたいに飲むんだろうなあ。一緒に小さなタパスをもってきてくれました。赤ピーマンの炒め物みたいのがパンといっしょに爪楊枝に刺さってます。
 相変わらず写真写りの悪いピミエントスくんたち。シンプルな料理ではありますが、揚げ具合と塩具合が大事。やはりうまいっす。
 エビのグリルは言うまでもなく美味。焼き立てにじゅっとレモンを絞り、無言で皮をむきます。互いの数を確認しながらがんがん食べます。(じゃないとケンカになるからね)
 コロッケは……、中身を失念してしまいました。何かのクリームコロッケだったと思うんだけどな。マチルダ、憶えてる? でも、揚げ物が得意じゃないねもがいてなお完食しているので、美味しかったのだと思います。
 山盛りコロッケを食べてなおまだ足りなかったふたりは、エビを追加。それも食べつくしました。
 これにお通しのパンと水で37ユーロ。あーおいしかった。
 このお店は、テーブルに小さいティッシュボックスみたいな紙ナプキンを用意してくれていたので、心置きなく手でエビの皮を剥けます。食べ終わったら、残ったレモンで手を拭いておしまい。魚介の匂いも落ちます。

 ホテルに戻ったのは、午後10時半くらい。ア・コルーニャみたいに賑やかなら、まだまだふらふらできそうな時間でしたが、ペスケイロ地区はなんだか静かで怖かったので早めに帰りました。
 曜日によるのかもしれないけれど、思ったよりヴィーゴは静かでした。新市街は賑やかなんでしょうか。
 なんとなく腑に落ちないふたりは、ア・コルーニャの騒々しさを懐かしみながら、スペイン最後の夜を過ごしたのでした。

                             
                        ホテルの窓から。これで午後10時半。どう見ても夕方だよねえ。
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2008spain9

2019/03/31
■静かなガリシアの町

 ぐーっすり眠って起きたら8時半。
 本日もすっかりお寝坊でございます。

 外は昨日の青空がウソのような曇り空。
 窓を開けてみたら、キンっとした空気。
 さぶっ。冬みたいですー。
 秘蔵(?)のフリースを引っぱり出し、朝ごはんに向かいました。

                   
                    レストラン中から外を眺める      本日は控えめ(?)

 さすがのACさん。朝ごはんビュッフェは、数が多いわけではないのですが、充実してます。
 各種パン、各種ジャム、ハム、ソーセージ、ベーコン、トルティーヤ、生野菜、フルーツ、ヨーグルト、シリアル、デザートなど、およそ朝ごはんに食べたいものが揃ってました。パンがたまらなくおいしいんですよねえ。

 朝食後は、アヤリスの町をお散歩します。
 ホテルから出て、目の前のアルノイア川の畔まで降り、川沿いの緑道を北に向かって歩きます。
 写真を見ると、ここがスペイン?、って思ってしまいますよね。うっそうとした緑と、鈍色の川。この日やや曇っていたこともあって、余計に色が深く見えたんですね。まるでイギリスの田舎でも散歩しているような気分でした。(あっ、すいません。行ったことありません。マチルダ、イギリスの田舎ツアーもしないと!)
 いくらも行かないうちに古ぼけた橋が見えてきました。


静かなアルノイア川          Arnando公園            Ponte Romanica de VILANOVA   Sta.Maria de Vilanova教会

 地図を見ると、Ponte Romanica de VILANOVAとあります。Romanicaと聞いて、最初はローマ時代? と思ったのですが、ウィキペディアの英語版を見てみると、どうもロマネスクという意味のようです。
 帰ってからアヤリスの観光局のサイトにも行ってみたのですが、スペイン語、英語対応と書いてあるにも関わらず、リンク切れでガリシア語オンリー。残念ながら、細かいことが分かりませんでした。
 橋の上からは、Sta.Maria de Vilanova教会が見えます。

            
            Sta.Maria de Vilanova教会   教会の前にたっていたクルセイロ  Vilanova通りから振り返ったところ

 教会のすぐ近くには、クルセイロ(cruceiro)と呼ばれる石の十字架が立っていました。
 クルセイロは、キリストに因むさまざまな物語を彫刻で表現したガリシア特有の石の十字架です。信仰を深めると同時に、道標の役割をもつものもあるそうです。13世紀ごろから作られ始め、最初はシンプルな十字架だったものが、15世紀以降、聖ビセンテ・フェレールという聖職者が布教して歩いた頃から、装飾や彫刻が複雑になっていったのだそうです。アヤリスのクルセイロは、すっかり風化して、磔刑のキリストの姿がようやく分かる程度でした。十字架の後ろにふたつほど石の塊がくっついていて、人のようにも見えました。高さは、5、6メートルぐらいはあったと思います。

 Vilanova通りを道なりに登っていきます。見下ろせば、アルノイア川がゆったりと流れています。学校の授業なのでしょうか。ちょうど中学生くらいの子たちが、先生の指導のもと、元気よくボートの練習をしていました。
 淡い茶色の石造りの家が立ち並ぶ道には、ほとんど人が歩いていません。金曜日の昼間というのに、町はひっそりとしています。バルを覗いても、ようやく店を開けたという感じで、遅い朝食を取る人の姿を見るくらい。本当に静かな町です。
 いくらも歩かないうちに、ロマネスク様式のサンティアゴ教会が建つ、小さな広場に出ました。扉が閉まっていたので、中を覗くことはできませんでした。
 教会からまたたらたらと坂道を降りていくと、昨日車で何度も通った橋に出ました。橋を通る道路の名前はPardo Bazan通り。でも橋の名前は、地図には書かれていませんでした。
 そこからAlameda公園の中をぷらぷら歩いてみました。と、平屋建ての体育館のような建物がありました。
 折りしも、中から妙にさっぱりして、頬を赤くしたおじさまが出てきました。入口の貼り紙には時間割と料金が書いてあります。
 どうやら有料の温水(温泉?)プール施設のよう。料金は確か300円前後だったかと思います。もしかしたら公共のプールだったのかもしれません。
 こんな静かなところで、のんびりプール三昧もいいねえ。
 なんて言いながら、忙しいニホンジンは次の町に向かうべく、ロシナンテ号の待つホテル駐車場へと戻っていったのでした。

            
            アルノイア川               サンティアゴ教会            Vilanova通りにて
            
            Castelao通り(と思う)         来る時に渡ってきた橋         温泉プールなのかな?


■脱出不可能! オウレンセ

 静かで緑いっぱいのアヤリスでたっぷりマイナスイオンを取り込んだねもたち。すっかり癒された気持ちで次なる町、オウレンセに向かいます。ちょっくらスペインの温泉なるものを見学し、この辺では大きい町なので、おいしいお昼ごはんでも食べようという魂胆です。
 ホテルの前の道は一方通行なので、そのままCamino de Arnandoを進み、ロータリーで左折、N525に向かいます。道が細くてちょっと不安になるけど大丈夫。N525を左折して、そのままN525を進むのです。妙ですが、現地に行ってみるとそうなってますので、迷わず行ってください。すると、Ourense方面行きのA-52に乗れます。これでまずはひと安心。

 アヤリスでは雲の間から時折青空ものぞいていましたが、だんだん雲が厚くなってきました。
 昨日とはうって変わってどんよりした空。ちょっと雨雲のようでもあり。ううむ。雨はやだなあ。

                   
                    車の中から。空が暗い         伝わるかな? すごい傾斜ですのよ

 アヤリスからオウレンセまではほんの20分ほど。
 すぐに224出口が現れます。A-52を降りると、ここから先はミシュランのオマケ地図もありません。行き先表示を頼りに走ります。
 オウレンセはそこそこ大きな町です。あんまり走り回っていると訳が分からなくなりそうだったので、入ってすぐにパーキングを探し、Alameda del Concejoそばのパーキングメーターにロシナンテを止めました。

                   
                    ロシナンテ号、ひと休み         初パーキングメーター
 
 スペインでは初のパーキングメーターです。日本のと違って、一台一台にメーターがついているわけではありません。
 でも、使い方は簡単。
 Pと書かれた、見るからに料金を入れてくれと言わんばかりの機械がすぐ近くに立ってますので、所定の料金を投入、プリントアウトされるチケットの上半分をちぎって、外から見えるようにフロントガラスのところに置いておきます。チケットにも「ここへ置くように」とちゃんと図で表しています。分かりやすいです。午後12時半くらいから、午後4時過ぎまでで、0.65ユーロでした。
 

これがチケット             TICKET VISIBLEと表示されてます

 時刻は12時半。お昼を食べておかなくては。
 近くには簡単なバルもありましたが、もうちょっと歩いてみることにしましょう。
 車を停めた場所は、大きな公園の下手でした。たぶんBarbana川の近くだったのではないかと思われます。坂を上がっていくと、なにかの香りがしてきました。香水のような、とてもいい香りです。
 香りにひかれて歩いていくと、ネムノキの花が満開でした。

                   
                    ネムノキ                 ふわふわの花

 甘い、桃のような香りです。ねももマチルダも、ネムノキの花に香りがあることを知りませんでした。
 ネムノキはマメ科の落葉高木で、木の皮にも香りがある香木です。薄紅色に染まったふわふわしているものは、おしべなんだそうです。辺りにはたくさんのネムノキが植えられていて、やさしげなの花の香りに満ちていました。
 落ちている花を拾ってみたのですが、ほんとうにふわふわ。極上の化粧ブラシのようです。こんなにキレイなのに、花の命は短いのか、見ている間にも次から次へと落ちていきます。ネムノキって、名前から勝手に日本ぽいと思っていましたが、どうやらスペインにもたくさんあるみたいです。そう思ってみれば、なんとなくフラメンコで使うアバニコ(扇)にも似ているような。

            
            公園のそばの市場           新鮮な野菜がたくさん         そろそろお片づけかな 

 公園をぐるりと巻いて上がっていくと、市が立っていました。もうすぐお昼休みなのか、すでに片づけが始まっていましたが、おいしそうなトマトや、見たことのないレタスや、キレイな花が売られていて、地元の人がカゴを持ってお買い物しています。地産地消という感じでしょうか。スーパーマーケットも便利だけど、スローライフは捨てがたい魅力がありますね。滞在できるのなら、ねももお買い物したかったです。

 坂を上がりきると、また公園のようなものがあり、人が集まっていました。
 なんだろう。
 いかにも古そうな建造物で、みんな写真を撮ったりしてます。

 あっ、温泉だあ。

            
            Las Burgas               あちちっ。               湯気が立ちのぼっています 

 ここはローマ人も重用した源泉Las Burgas(ガリシア語ではAs Burgas) みんなこわごわお湯に触れています。
 温泉といえばのニホンジン。ここはいっちょ手だけでもつかってみようかね。

 おおおおうっ。あぢぢぢっ。

 50度から60度ぐらいはあるんじゃないでしょうか。
 いやホントに熱かった。
 みんな腰が引けてたのは、熱かったからなのね。
 滔々と流れ出す源泉からは、もうもうと湯気が立っています。

 オウレンセでは、この10月にTERMATALIAという国際温泉ツーリズムフェアが開催されたそうです。ミーニョ川の方には和風温泉施設もあると言うし、本当に温泉で(ローマの昔から)町おこししてるんですね。
 後で調べてみたら、ねもたちが通過してしまったVerin(べリン)という町も温泉町で、ベリンのパラドールでは蛇口をひねると温泉が出てくるのだとか。
 がーーーん。
 知ってたら、ガリシア滞在をもっと延ばしたのにいいいーーーーっ。

 Las Burgasにあった町の案内看板を見ただけで、全然知らない町を歩く私たち。
 だいたいの勘で、旧市街へ向かいます。Las Burgasのすぐ東側へ歩いていくと、旧市街があるはず。
 不安ながら歩いていくと、果たしてそれらしい街並みがありました。

            
            ここかな?                ここっぽい?              それらしい!

 旧市街に入ると、カテドラルとかなんとか教会とかの行き先表示が出てきます。これでとりあえずは町の中心には行けそうです。とにかくはカテドラルを目指し、道々レストランなど探しながら歩きました。
 オウレンセは思っていたよりずっと大きな町でした。ガリシアではヴィーゴ、ア・コルーニャに続く第3の町なんだそうです。旧市街は落ち着いた感じもありますが、結構観光客も多いし、地元の人もせかせか歩いていて、田舎町という感じはありません。のんびりしたアヤリスから来ると、ちょっとドギマギしてしまいます。プラセンシアをずっと大きくした感じでしょうか。

            
            カテドラル                巨大な衝立と香炉          薔薇窓がどうしても「米」に見える…。

 お昼休みギリギリでしたが、カテドラルに入ることができました。
 曇りだったせいもあって、中は暗く、金色の衝立がぼうっと浮き上がる様子は、神秘的でした。
 どうもこのあたりの教会は派手ですね。
 サラマンカのサン・エステバン修道院をぐっと小さくしたような衝立は、豪華絢爛。祭壇の前には大きな香炉が吊り下げられていました。きっと礼拝の時にはこれに香をたいて振り回すのでしょう。たったの5分ほどでしたが、サンティアゴ・デ・コンポステーラに行く前に、ひっそりとした静かなカテドラルを味わうことが出来てよかったです。

 カテドラルもお昼休みに入ったことだし、我々もお昼ごはんにしよう。
 来る時にチェックしておいた、カテドラルすぐそばのALPENDLEというお店に入ってみました。
 店内は、まだランチが始まったばかりで空いていました。
 こげ茶のテーブルに深いブルーのランチョンマットが素敵。お店の人も感じが良くて親切でした。

            
            レストランALPENDLE          テーブルセッティング          パドロン産ピミエントス 
            
            マッシュルームの炒め物        アスパラサラダ             エビのニンニクオイル煮

 ガリシアでご飯を食べるにあたって、ねもたちがどうしても食べてみたかったものがありました。
 Pimientos de Padron(パドロン産ピミエントス)です。
 名前のとおり、ガリシア地方のパドロンが産地のししとうです。
 南米から持ち帰ったハラペーニョを、辛い物が苦手なスペイン人が改良を重ねて今の味に作り上げたのだそう。
 パドロンという町ははサンティアゴ・デ・コンポステーラの近くにあります。この後、我々は産地の近くを通りもしました。(さすがに寄らなかったけど)ピミエントスは数あれど、パドロン産のがすんごくおいしいのだ!と聞いて、どーしても食べてみたかったんですよ。
 オリーブオイルで揚げて、ぱぱっと粗塩をかけだけのこれが、バルではおつまみの定番なんだそうですね。
 さて、注文すると一番に運ばれてきました!
 出来立てあつあつ。舌をヤケドしそう。だけど、えいっ。
 ぱくっ。

 ううううううまいーっ!

 うまかったー!
 写真ではどうもおいしそうに写らないんですけど……。本当においしかったんですってば。
 見た目は日本のししとうをずんぐりさせた感じ。甘くて、パプリカとししとうの間ぐらいの味です。軽いオリーブオイルが甘みとわずかな苦味と相まってうまいのなんのって。酒飲みじゃないねもだって、ビールいっちょうくれいっ、って気分になります。
 ひとつ食べると、もう止まりません。
 前に座ってるマチルダと分け合おうなんて気持ちは、もうどこにもありません。
 へたをつまんではぱくっ。
 うまさをじんわり味わって、またひとつ。
 まるでカニを食べる人のように、ふたり先を争って食べまくります。
 あっという間に、皿はへたの山になってしまいました。
 ところで、日本のししとうもそうですが。
 たまに先祖がえりしてるやつがいますよね。
 この皿にもいましたよ。
 ししとうの『当たり』って、なんであんなに辛いんでしょうねえ。口中が寒くなるほど辛いんですよねえ。そんでなんの中枢神経が刺激されるのか、涙流して笑っちゃうんですよねえ。素敵なロシアンルーレットですよねえ。

 さて、他のお食事だっておいしかったですよ。
 マッシュルームの炒め物は、見たとおりのシンプルな味。キノコ好きには堪りません。固めのパンに良く合う味です。
 アスパラサラダは、缶詰白アスパラの味。脂っこいものばかりだったので、オアシス的存在でした。頼んでよかった。
 Gambas al Ajillo(エビのニンニクオイル煮)は、「いけません」と思うほどの油に漬かってますが、ニンニクの味がきいてたまらなくおいしかったんですよねー。ここのお店はニンニクによく火が通っていて、美味でした。
 以上の4品に、お水をつけて25ユーロ。
 あーおいしかった。また食べようっと。

 この旅一番の発見は、ピミエントスかもしれないなあ。

                   
                    市庁舎                  サンタ・マリア・マドレ教会

 食後はマヨール広場の市庁舎や、かわいらしいサンタ・マリア・マドレ教会を見ながら、のんびり車に戻りました。
 マヨール広場には、観光用のチキトレインがいました。時間があったら、乗りたかったなあ。

 ロシナンテ号に戻った我々は、次なる町、サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かうべく、発進いたしました。

 ……いたしましたのですが。
 サンティアゴへは、ちゃんと行き先表示が出てました――――途中まではね。
 (たぶん)新市街のロータリーを幾つもくるくる回っているうちに、看板はふっつりと姿を消してしまいました。
 見逃したかと思い、元に戻ってみても同じこと。
 なんで途中で看板がなくなっちゃうのさー。
 マチルダも必死に看板を追っているし、ねもだって頑張ってぐるぐる運転してます。なのに、どうにもこうにもオウレンセから出られませーんっ。
 どこをどう走ったのか、町を抜け出しました。抜け出したのはいいのですが、もうここがどこだか分かりません。
 ハイウェイらしき道の行き先表示には、見たことのない町名しか載ってない。
 よくよく見渡してみると、OU536と看板が出ている。この道路はOU536というのか。
 で、OU536ってどこへ行く道路なんですか?
 マチルダは外に出て走り、ねもは地図とにらめっこ。

 結局、OUはオウレンセ県の県道であり、OU536はサンティアゴとはまったく逆方向に向かう(しかも大きな町をまったく通らない)道だったことが判明。
 ならばと町を迂回する道路を探してみたけれど、なさそう。町中からしか行けない様子。
 ……ううむ。またオウレンセの中に入るのか。
 しかし、現在地が分かっただけでも、儲けものと思うことにしよう。川の位置や道路の向きを確認して、再度挑戦。
 ぐるーんぐるーんとロータリーを回り、何度かのトライの後、なんとか脱出成功。
 4、50分も迷ってたでしょうかね。
 今度オウレンセに行く時は、市街地図を手に入れてから挑戦したいものです。


■聖地は遠し……雨のドライブ

 オウレンセをどうにか出てから、雲行きが怪しくなってきました。
 ぽつぽつ来たなあ、と思ったら、見る間に本降り。前を行く車のタイヤから、水しぶきが舞い上がります。
 折りしもロシナンテは山越え道路を走行中。
 標高が上がってきたとこで、泣きっ面に蜂、というやつでしょうか。霧まで出てきました。

 ひゃー、こわいよう。

 ヘッドライトを点けても、こっちの存在を知らせるだけで(いや、それも重要なんだけど)、運転するねもには前方が全く見えません。山道なのでカーブもしてるし、ただの国道なので路面もあんまし良くない。
 スリップしないように、前の車に近づき過ぎないように、とだけ神経集中して走りました。
 もう少し行けば、auto pista(有料の高速道路)に乗れる。そしたら少しは楽になるはず。

 ねもの緊張が、車中を沈黙に陥れます。
 ときどきマチルダが声を掛けてくれますが、余裕のない答えしか返せません。
 ロシナンテ号、セビリア出発以来の緊張感に包まれております。

 走ること30分ほどで、auto pistaのランプが見えてきました。
 相変わらず雨は降り続き、霧も消えませんが、少しだけホッ。
 順調に行けばあと30分でサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着できる。
 時刻はまだ3時台。ちゃっちゃとお参りしてこよう。

 しばらく行ったところに、peaje(料金所)がありました。
 システムは日本の高速道路とまったく一緒。
 空いてるブースに並んで、順番が来たら前方にデジタル表示される料金を係のお姉さんにお支払い。
 ちゃんとレシートもくれます。4.95ユーロでした。

 「ちゃっちゃとお参りしてこよう」
 なんて考えがヤコブ様のお気に触ったのでしょうか。
 AP53に乗ってサンティアゴに近づくに連れ、雨は一層強くなってきました。
 そのうえ、出口72を降りる手前あたりから、渋滞し始めました。
 この悪天候に、みんなお参りなのかい?
 かく言うねもたちもそうなんですが、とにかく混んでます。まだお昼休み時間だと思っていたのですが、みんながそろそろ町に戻ってくる時間だったのかもしれません。途中、道路工事もしていたようで、ますます動かなくなってきます。
 外はざんざん降り、車はじりじりとしか進まない。
 これじゃあ、お参りったって、カテドラル探してる間にずぶ濡れになっちゃうよ。

 ここで我々、ご英断です。
 世界遺産サンティアゴのカテドラルは是非見たい。でも、この雨では観光は楽しめない。
 サンティアゴはオマケ地図があるけれど、ものすごく簡単なのしかない。時間的にも、体力的にも、さっきのオウレンセみたいに、抜け出すのに手間取るわけにいかない。
 本日のお宿は、この先のア・コルーニャ。ほんの80キロほどとは言え、この雨の中、また山道を走って行かなくてはならないのだよ。
 分かった。今日はもう諦めよう。
 明日、来られるなら来よう。
 ご縁があるなら、来られるでしょ。

 ということで、町に入りきってしまう前に、適当なロータリーでUターン。出て行くほうも少し混んでいたものの、すんなりAP9に乗り、ア・コルーニャを目指しました。



                             
                                AP9上にて。どんよりした空

 途中、サービスエリアを発見。
 有料道路上であるからには、町に下りていくわけではなかろう。
 そろそろガソリンも入れておきたいし、ひと休みした方がいいね。スペインのサービスエリアも見てみたいしね。

            
            ガソリン入れま~す           お掃除しま~す             拭きま~す 

 サービスエリアに入ると、道路もガソリンスタンドもその奥のお店(コンビニ)も、全体に妙にキレイ。まだ新しい感じがします。
 まずはガソリン。
 種類が良く分からなかったので、コンビニのお兄さんに何度も確認させてもらいました。
 日本でもセルフのスタンドを使ったことのないねも。
 ちょっと不安ながら、ハンドルを上げてタンクにがんっと突っ込みます。ハンドルを握りしめると、ガソリンが流れ出します。満タンになっても分からなくて溢れちゃったらどうしよう、とか心配してたんですけど、自然にストップするんですね。ああ良かった。
 後はお店に入って行って、レジのお兄さんにお金をお支払いするだけ。もちろんクレジットカードも使えます。
 もうこれでひとりでガソリン入れられるぞー。

 お次は、スタンドに置いてあったお掃除グッズで、セルフお掃除。
 雨も小止みになり、少しお空も明るくなってきました。
 超乾燥の大地や、雨の山道を突っ走ってきたロシナンテ。フロントガラスも、ボンネットも汚れに汚れてます。お鼻のあたりには、なんと巨大なスズメバチ(もちろん死骸)がめり込んでいてびっくり。いつの間に衝突してたんでしょうか。
 
 シャワーまではないので、適当に汚れを落としたあと、ガラスだけはしっかり拭いておきました。まだ雨も止まないし、あとは自然の力で……ってそれでまた汚れるわけですがな。

 お掃除の後は、コンビニにて小休止です。

            
            tangerinaとロシナンテ         店内                   おやつ 

 このサービスエリアはまだまだ拡張中なのか、これでおしまいなのか分かりませんが、ガソリンスタンドとtangerinaというお店(コンビニ)しかありません。お店の感じは、日本のサービスエリアにあるようなコンビニとよく似ています。飲み物があって、スナック菓子があって、車関係のちょっとした小物があります。パンとコーヒーを出してくれるようで、立ち食べ用の背の高い円テーブルがいくつかありました。さすがにお弁当は売ってませんでしたが。
 ちょっとお疲れモードだったねもたちは、巨大なアイスクリームバーを買い、その場で食べました。
 バニラアイスにナッツ&チョコ。甘くて冷たくておいしーい。
 おいしいんですよねえ、こういう時のアイスって。少々お高めで3.90ユーロ。サービスエリア価格だったのかな。

 ひと休みして、甘いものも食べれば、また元気になるふたりです。
 れっつごー、ア・コルーニャ!
 雨は降ったり止んだり。auto pistaの路面はまあ普通。なぜ今まで走ってきたタダの高速の方が状態が良かったんでしょうか? 走りにくいというほどではありませんが、舗装がちょっと古びた感じがあります。
 山の中をうねうね走り、上ったり下りたりを繰り返しているうちに、なんとなく空が明るくなってきました。

                             
                                雲が切れてきた!

 雲の切れ目から、ちらちらと眩しい光が降ってきます。お天気雨のようなシャワーの空を見上げると、かすかに色彩のアーチが。

 あっ、虹!

 気づいた時は、すでに虹のふもとを走っていました。
 消えかかってはいましたが、確かに虹です。 ガリシアで見る、初めての虹。こんなに淡くなっていても色が判別できるほど、アーチの幅があります。きっと大きなアーチだったのでしょう。
 もうすぐ到着する、ア・コルーニャの町からは見えたでしょうか。
 悪天候ドライブを頑張ったご褒美のようで、なんだか嬉しい気分。
 あまりに儚い虹で写真には収められませんでしたが、とってもラッキーな気持ちになりました。。


■コスモポリタンの町、ア・コルーニャ

 虹を走り抜けた我々とロシナンテ号は、間もなく下りにかかりました。
 海へと下りていく道路の先に、大きな町が見えてきました。ア・コルーニャです。
 ア・コルーニャは、ガリシア州第2の都市です。
 自治体としての正式名称はガリシア語の「ア・コルーニャ」ですが、スペイン語の「ラ・コルーニャ」も広く使われています。空港コードなんかはラ・コルーニャになっています。

 思わぬ大都市にびびりながら高速道路を降りましたが、割りと頻繁にホテルの看板が出ていたので、奇跡的にスムーズに本日のお宿Hotel Zenit Corunaに到着。
 というか、周囲の車に追われるように町に入り、どうにか看板を見つけて、ふっと地下に入ったかと思うと、目の前に出てきた「ここを右」という看板に思わずハンドルを切ったら、そこはホテルだった、という状況でした……なのでもう一度スムーズに行けるか、と言われると甚だギモンではあります。(たぶんムリ)

                             
                                Hotel Nenit Coruna

 ホテルはオルサン海岸から1ブロック入ったComandante Fontanesという通りに面しています。通りはあまり広くないし、目の前もビルが立ち並んでいるので、リゾートという感じはありません。開放感はないかもしれませんが、ホテル自体は立地はいいし、レセプションは明るくてキレイだし、スタッフは感じいいし、気持ちよく滞在できましたよ。

            
            ベッドは普通サイズ           意外と狭い               バスルームもきれい  

 ホテルは比較的新しいのでしょうか、お部屋はコンパクトながら清潔。床やベッドのヘッドボードは落ち着いた焦げ茶。直線的な照明やデスクがモダンです。バスルームはガラスの洗面台(ダブルボウル!)どことなくACホテルに似ているような。こういうのがスペインのモダンホテルの流行なのかな。
 壁紙は、天井以外すべてベージュのストライプなのが特徴的。ストライプの幅が広めなので、可愛らしい感じでした。誰が撮った写真を見ても、「あっ、Zenitだ」って分かるから、いい宣伝になりますね。
 部屋は幅が狭く、天井もそんなに高くないので、体の大きい人は圧迫感があるかも。他のサイトさんを見てると、あまりに狭くて部屋を変えてもらったという人もいるようです。狭いとこ好きなねもは平気ですけどね。ベッドも普通サイズだし、なにより清潔で快適。お掃除ばっちり、アメニティも揃ってます。ちょっといいシティホテルという感じですかね。
 シャワーは可動式、バスタブあり。カーテンではなく、ガラスの扉で途中まで仕切られているだけなので、上手に入らないと床が水浸しになります。ガラスを使うのはカッコイイんだけど、お湯をたくさん使うニホンジンには向いてないんだよなあ。
 窓はベッドの奥にひとつ。横長の外開き窓です。レバーを押してぐいっと上に持ち上げるタイプ。ねもは小さいので、レバーごと連れて行かれそうになります。ここは607号室。日本式の7階。わりにスリリングです。

 窓を開けた途端に潮風が流れ込みます。顔を出すと、目の前をカモメが飛んでいて驚きます。
 ああ、海までやってきたんだなあ。

 ただ今の時刻、午後6時半。
 まだまだ明るいスペインの夏です。
 ガリシアに来てから、あんまりスペインという感じがしません。じゃあどこなのか、と言われても困るのですが、いわゆる闘牛・フラメンコ・ラマンチャ というスペインではないんですよねえ。
 潮の香りと、時折ぱらつく雨にはばたくカモメと、立ち並ぶ近代的なビル。
 今朝までいたアヤリスともまったく違う景色です。
 本当にスペインという国は広いんですねえ。

 そもそもア・コルーニャに来ることになってしまった可愛い路面電車の夏季営業は、9時半ごろまで。であれば、早速乗りに行かなきゃ。ついでにローマ時代の灯台、エルクレスの塔を見てこようか。

 ア・コルーニャには、先ローマ時代から人が居住していました。紀元前62年には、カエサル(ジュリアス・シーザー)もここを訪れています。ここを「ブリガンティウム」を名付けたローマ人は、港を建設し、灯台を建てました。
 これが「エルクレスの塔」と呼ばれる、ローマ人のものとしては現存する唯一の灯台です。エルクレスはスペイン語読み。みなさんご存知のギリシャ神話の英雄ヘラクレスのことです。
 世界最古の灯台とも言われているこの灯台が現在の形になったのは18世紀のことだそうですが、今なお現役なんですよ。そのうち世界遺産になったりして。
 たったの2ユーロで塔頂まで登れるとあっては、ぜひ登らねば。

 レセプションで地図をもらい、まずは路面電車です。
 風があるので少々肌寒い感じもありましたが、天気が回復してくれたので、うすいカーディガンでもあれば充分な感じです。
 乗り場はホテルから海岸に出てすぐの場所にありました。ちょっと待ってみたけれどなかなかやって来ないので、リアソルスタジアム近くの始発駅までぷらぷら歩くことにしました。


オルサン海岸              海岸沿いにあった大きな碇       海沿いのプロムナード      奥がオルサン海岸、手前がリアソル海岸

 ホテル紹介のサイトの写真では、多くの海水浴客が寝転がっていたオルサン海岸も、今日は砂浜にいる人もまばら。
 気温は21度ぐらいだったでしょうか。風もあったのでさすがの欧州人も寒かったかな。
 晴れていれば是非海水浴したかったんだけどな。
 前方にスタジアムの屋根が見えてきたら、もうすぐ始発駅です。

            
            路面電車の始発駅           サイズもデザインもかわいい     ノスタルジックな車内 

 路面電車は2ユーロ。路線はいくつかありますが、観光用とあって、路線図を見れば簡単に分かるようになっています。
 歩いている時はそうでもなかったのですが、ここまで来ると人が増えて、電車もすぐに満席になりました。みんな観光客。子供も大人もワクワクした顔をして出発を待っています。遊園地の乗り物に乗っているみたいで、楽しい雰囲気です。
 ごとん、ごとん、と走り出すと、みんなカメラを構えて記念撮影が始まります。

 電車はリアソル海岸からオルサン海岸へと、ところどころで客を乗せたり降ろしたりして、のろのろ進みます。豪華なホテルマリア・ピタの前を過ぎると、日本人建築家 磯崎新さん設計の人類博物館の前を通ります。海に向かって帆を張っているかのような、緑色スレートのファサードが印象的な建物です。ちょっと目にはどういう建物か想像できません。海外でも著名な磯崎さんの作品はビルバオでも見ました。当時は建築中のイソザキタワーでした。
 ポストモダンの磯崎さんの作品が不思議に馴染むア・コルーニャの新市街は、かなり現代的です。
 さっき歩いてきたプロムナードもその横のAvda.de Pedro Barrie de la Maza(長い…)も、幅の広い道路で、そこに立ち並ぶビルも近代的。政府観光局のパンフレットにも 「この町にはよそ者がいない と言うほど開放的でコスモポリタンな都市です」とあるとおり、昔から先取的な町なのでしょう。
 失礼ながら、日本から見れば、ここは遠いユーラシア大陸の端っこの町です。もっとノスタルジックな町を想像していたので、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。ビルバオほどとんがってはいませんが、いずれそうなるのかもしれません。
 ホテルで貰ったア・コルーニャの分厚い観光パンフには、たくさんの美しい海岸が紹介されていました。ビルが立ち並ぶオルサン海岸でさえ、驚くほど水がきれいな海岸です。アートもあり、リゾートもあり、工業港ですから当然ビジネスもある。おいしい海産物があって、世界に名だたる観光名所もあるア・コルーニャは、もっと日本人に知られてもいい町なのではないか、とつくづく思いました。(なので、ねもが紹介しますよー!)

                           
                              架線用の電柱もこんなにお洒落

 路面電車が大西洋に突き出た半島をぐるーっと回り込んだところが、エルクレスの塔への停留所です。停留所名なんて分からなくても、塔が見えてくるし、みんな降りていくので分かります。

            
            停留所から見た塔            エルクレスの塔(奥)とエルクレスの立像(手前) 

 停留所からは遠く感じる塔ですが、歩いてみるとそんなに距離はありません。キレイに整備された公園のような舗道を歩いていけばいいのでラクラクです。
 ところで、上の写真の立像はエルクレス(ヘラクレス)です。なんともぷっくりしたヘラクレスで、ちょっとユーモラスでさえあります。ギリシャで見るヘラクレスの像とはかけ離れていて、とても同一人物を表現したものとは思われません。これも著名な彫刻家の作品なんでしょうか。感性の違いというのは、面白いものですね。

 停留所から10分も歩かないうちに道は登りになり、塔に入る階段へと続いていきます。

                            
                                 Torre de Hercules

 逆光だったので写真では石の色がよく分かりませんが、赤味のあるベージュ色です。遠くからだとちまっと見えるのですが、近づいてみるとやはり大きな灯台です。
 入場料2ユーロを払うとパンフレットをくれます。英語とスペイン語、そして(たぶん)ガリシア語での解説が載っています。

                   
                    ローマ時代の遺構            こんな階段をあがっていく

 中に入ってすぐに目に入るのは、ローマ時代の遺構です。
 発掘してそのまま放り出したみたいに、大きな石がごろごろ転がっています。ところどころ板を渡してあり、照明も工事現場みたいです。奥まで歩いていくと、階段があります。
 よおーし、登るぞう。

                             
                                目が回る~。

 階段は狭く、降りてくる人とようやく行き違えるくらい。くるくる巻きながら上がっていくので、目が回りそうになります。
 くるくるくる回って回って登りつめると、
 ごおおっ。

                             
                                ひ~。(ちと大げさ)

 すごい風圧です。
 さすがは海に突き出した灯台。当たり前ですが回りに遮るものなんて何もありません。吹きっさらしです。
 ねもにカツラ疑惑があるなら、完全に自毛を証明できるような風です。(意味不明)
 やや大げさですが、いや、大げさではなく、本当に風が強くて長くいられそうもありません。とりあえず撮影ですっ。

            
            エルクレスの塔より大西洋を望む   フェロール方面             ア・コルーニャ市街地 

 見渡す限り、大西洋です。水平線が、大陸の果てにきたことを実感させてくれます。
 とうとうここまでやって来たんだなあ。
 南のセビリアを出発してから、9日目。
 真っ赤な大地を走り、山道を走ってついに大西洋に到達しました。
 ここでユーラシア大陸は終わり、この海の先にはイギリスがあるのです。
 
 1588年、リスボンを出航したフェリペ2世の無敵艦隊は、ここ、ア・コルーニャに寄港してからイギリス海峡に出撃します。ここは対イギリスの砦でした。歴史が示すとおり、海戦は大敗に終わり、その後のスペイン衰退の予兆となってしまいます。ですが、 ア・コルーニャはその後も重要な港であり続け、19世紀にはナポレオンとも戦い、スペイン独立戦争の舞台ともなります。
 世界史の教科書で習った「コルーニャの戦い」が、200年前のここで何故起こったのか、この場所に立つことでようやく納得できたように思いました。予備校時代の世界史の先生の言葉「地理を理解しなければ、世界史は理解できない」を、体感できた瞬間でした。

 感動的な眺めもいいですが、なにしろ風が強い。このままここにいると凍りそう。
 下界に降りて、塔から見えるコンパスまでお散歩してみることにしました。

            
            道はどこまで続くの~?        まだまだよ~。              ……もういっか……。 

 お散歩道は何本も整備されていて、歩きやすいです。ワンちゃんを連れてジョギングされてる方もいます。
 しかしですね。
 遠いんですよー。そして風が強いんですよー。もう8時半過ぎてるんですよー!
 こんなところで日没を迎えてはオソロシイ。
 ということで、途中で断念。
 そしてふたりは、道々お花などを愛でながら、町に戻りましたとさ。


塔の周りにはたくさんの花が。みんな小さくて、かわいらしい花ばかり。潮風に耐えて、一生懸命咲いていました。

                             
                         少し離れて見あげたエルクレスの塔。なんだか淋しそうに見える


■ガリシアの味

 夕食は、もちろんガリシア料理です。
 いやーびっくりしました!
 Estrella通りからFranja通りまで、バルがぎっしり立ち並び、人人人の大混雑。魚や肉が焼ける匂いがあちこちから漂います。ワインを立ち飲みするだけの店もあれば、きちんとしたテービルセッティングのレストランもあります。
 人気の店はもう満杯。ものすごい活気です。
 まるでサン・セバスチャンのバル街、Fermin Carbeton通りみたいです。いや、こっちの方が規模が大きいかもしれません。いやはやア・コルーニャには驚かされてばかりです。

                             
                                人でいっぱいです~。

 いったいどこに入ればいいのか見当もつかなかったので、とりあえずガイドブックに載っていたメソン・ド・プルポに行ってみました。そしたら、もう満員御礼、全然入れません。
 ひゃー、人気店だったのねー。
 うわー、どうしよう。あんまし混んでるのも嫌だし、かといってあまりに空いてる店は不安。
 ということで、適当に人が入っていて、入りやすい雰囲気だったここ↓に決定。

                             
                                MESON O GALEGO

 ガリシア料理店、とでもいう店名なのでしょうかね。
 もちろん、ガリシア料理をいただきますよー。
 ガリシア風スープ、帆立のグリル、エビの鉄板焼き、パドロン産ピミエントスをチョイス。折角のお料理なので、白ワインをグラスでオーダーしました。


ガリシア風スープ            帆立のグリル              エビの鉄板焼き            パドロン産ピミエントス

 ガリシア風スープは、なんの野菜が入っているのかよく分からないけど、とにかく緑たっぷり。塩味ベースのやさしい味で、お腹があったまります。でも、お皿にたっぷり入ってくるので、完食できず。ふたりでひとつで良かった。
 帆立のグリル、めちゃうま! マジでほっぺた落ちますー。
 「ガリシアで絶対に帆立を食べる!」と心に決め、vieira(ビエイラ)という単語(のみ)を覚えてきたねもたち。しっかりオーダーできましたよー。帆立はぷりっ、魚介エキスたっぷりのソースはふわっ。もーおいしかったー。お代わりしたかったよー。
 エビの鉄板焼き、これはシンプルそのもの。熱々のエビにレモンをたっぷり絞って食べるだけ。文句なしにうまいっ。日本人の好きな味ですよねー、これは。
 ピミエントスの素揚げ、この店が一番塩加減が上手だった。甘いピミエントスがああああもうたまりません。ししとう好きには堪えられないおいしさ。
 下戸なふたりにもおいしい白ワインだったし、至福。
 これで全部で40ユーロ。夕食としたら、まずまずのお値段ではないでしょうか。

 ア・コルーニャ、恐るべし。
 ねもたちのスペイングルメランキングでは、オンダリビアに並ぶ美食の町に躍進。
 いやむしろ、店も町も開放的でいやすい雰囲気と、大都市ならではの便利さ、食事の選択肢の多さと値段を考えれば、こっちに軍配があがってしまうかも。
 こんな素晴らしい町と知っていれば……って、今回こんなことばっかり言ってますね。
 本当に1泊しかできないのは勿体ない。旧市街やサン・アントン城、前を通過しただけの人類博物館、メソン・ド・プルポに、結局挑戦できなかった珍味ペルセベス(亀の手)。あと2泊しても足りないかもしれないなあ。
 「知らない」ということは、勿体ないことなんですねえ。こりゃまた来ないとー!

                             
                                夜のオルサン海岸

 ほろ酔いでホテルに戻ったのは、午前0時近く。
 どうやってお風呂に入って、髪の毛乾かして寝たのか憶えてません……まあ、いつものことではありますが。

 今日も、あっちこっちでいろんなものを見たなあ。
 いよいよ明日、この旅の最終目的地ヴィーゴに向かいます。ア・コルーニャからは約180km、2時間弱の距離。もうほとんど着いたようなものです。
 明日はお天気に恵まれますように、そしてサンティアゴ・デ・コンポステーラにもお参りできますように。
23:59 2008spain | コメント(0) | トラックバック(0)

2008spain9

2019/03/31
■静かなガリシアの町

 ぐーっすり眠って起きたら8時半。
 本日もすっかりお寝坊でございます。

 外は昨日の青空がウソのような曇り空。
 窓を開けてみたら、キンっとした空気。
 さぶっ。冬みたいですー。
 秘蔵(?)のフリースを引っぱり出し、朝ごはんに向かいました。

                   
                    レストラン中から外を眺める      本日は控えめ(?)

 さすがのACさん。朝ごはんビュッフェは、数が多いわけではないのですが、充実してます。
 各種パン、各種ジャム、ハム、ソーセージ、ベーコン、トルティーヤ、生野菜、フルーツ、ヨーグルト、シリアル、デザートなど、およそ朝ごはんに食べたいものが揃ってました。パンがたまらなくおいしいんですよねえ。

 朝食後は、アヤリスの町をお散歩します。
 ホテルから出て、目の前のアルノイア川の畔まで降り、川沿いの緑道を北に向かって歩きます。
 写真を見ると、ここがスペイン?、って思ってしまいますよね。うっそうとした緑と、鈍色の川。この日やや曇っていたこともあって、余計に色が深く見えたんですね。まるでイギリスの田舎でも散歩しているような気分でした。(あっ、すいません。行ったことありません。マチルダ、イギリスの田舎ツアーもしないと!)
 いくらも行かないうちに古ぼけた橋が見えてきました。


静かなアルノイア川          Arnando公園            Ponte Romanica de VILANOVA   Sta.Maria de Vilanova教会

 地図を見ると、Ponte Romanica de VILANOVAとあります。Romanicaと聞いて、最初はローマ時代? と思ったのですが、ウィキペディアの英語版を見てみると、どうもロマネスクという意味のようです。
 帰ってからアヤリスの観光局のサイトにも行ってみたのですが、スペイン語、英語対応と書いてあるにも関わらず、リンク切れでガリシア語オンリー。残念ながら、細かいことが分かりませんでした。
 橋の上からは、Sta.Maria de Vilanova教会が見えます。

            
            Sta.Maria de Vilanova教会   教会の前にたっていたクルセイロ  Vilanova通りから振り返ったところ

 教会のすぐ近くには、クルセイロ(cruceiro)と呼ばれる石の十字架が立っていました。
 クルセイロは、キリストに因むさまざまな物語を彫刻で表現したガリシア特有の石の十字架です。信仰を深めると同時に、道標の役割をもつものもあるそうです。13世紀ごろから作られ始め、最初はシンプルな十字架だったものが、15世紀以降、聖ビセンテ・フェレールという聖職者が布教して歩いた頃から、装飾や彫刻が複雑になっていったのだそうです。アヤリスのクルセイロは、すっかり風化して、磔刑のキリストの姿がようやく分かる程度でした。十字架の後ろにふたつほど石の塊がくっついていて、人のようにも見えました。高さは、5、6メートルぐらいはあったと思います。

 Vilanova通りを道なりに登っていきます。見下ろせば、アルノイア川がゆったりと流れています。学校の授業なのでしょうか。ちょうど中学生くらいの子たちが、先生の指導のもと、元気よくボートの練習をしていました。
 淡い茶色の石造りの家が立ち並ぶ道には、ほとんど人が歩いていません。金曜日の昼間というのに、町はひっそりとしています。バルを覗いても、ようやく店を開けたという感じで、遅い朝食を取る人の姿を見るくらい。本当に静かな町です。
 いくらも歩かないうちに、ロマネスク様式のサンティアゴ教会が建つ、小さな広場に出ました。扉が閉まっていたので、中を覗くことはできませんでした。
 教会からまたたらたらと坂道を降りていくと、昨日車で何度も通った橋に出ました。橋を通る道路の名前はPardo Bazan通り。でも橋の名前は、地図には書かれていませんでした。
 そこからAlameda公園の中をぷらぷら歩いてみました。と、平屋建ての体育館のような建物がありました。
 折りしも、中から妙にさっぱりして、頬を赤くしたおじさまが出てきました。入口の貼り紙には時間割と料金が書いてあります。
 どうやら有料の温水(温泉?)プール施設のよう。料金は確か300円前後だったかと思います。もしかしたら公共のプールだったのかもしれません。
 こんな静かなところで、のんびりプール三昧もいいねえ。
 なんて言いながら、忙しいニホンジンは次の町に向かうべく、ロシナンテ号の待つホテル駐車場へと戻っていったのでした。

            
            アルノイア川               サンティアゴ教会            Vilanova通りにて
            
            Castelao通り(と思う)         来る時に渡ってきた橋         温泉プールなのかな?


■脱出不可能! オウレンセ

 静かで緑いっぱいのアヤリスでたっぷりマイナスイオンを取り込んだねもたち。すっかり癒された気持ちで次なる町、オウレンセに向かいます。ちょっくらスペインの温泉なるものを見学し、この辺では大きい町なので、おいしいお昼ごはんでも食べようという魂胆です。
 ホテルの前の道は一方通行なので、そのままCamino de Arnandoを進み、ロータリーで左折、N525に向かいます。道が細くてちょっと不安になるけど大丈夫。N525を左折して、そのままN525を進むのです。妙ですが、現地に行ってみるとそうなってますので、迷わず行ってください。すると、Ourense方面行きのA-52に乗れます。これでまずはひと安心。

 アヤリスでは雲の間から時折青空ものぞいていましたが、だんだん雲が厚くなってきました。
 昨日とはうって変わってどんよりした空。ちょっと雨雲のようでもあり。ううむ。雨はやだなあ。

                   
                    車の中から。空が暗い         伝わるかな? すごい傾斜ですのよ

 アヤリスからオウレンセまではほんの20分ほど。
 すぐに224出口が現れます。A-52を降りると、ここから先はミシュランのオマケ地図もありません。行き先表示を頼りに走ります。
 オウレンセはそこそこ大きな町です。あんまり走り回っていると訳が分からなくなりそうだったので、入ってすぐにパーキングを探し、Alameda del Concejoそばのパーキングメーターにロシナンテを止めました。

                   
                    ロシナンテ号、ひと休み         初パーキングメーター
 
 スペインでは初のパーキングメーターです。日本のと違って、一台一台にメーターがついているわけではありません。
 でも、使い方は簡単。
 Pと書かれた、見るからに料金を入れてくれと言わんばかりの機械がすぐ近くに立ってますので、所定の料金を投入、プリントアウトされるチケットの上半分をちぎって、外から見えるようにフロントガラスのところに置いておきます。チケットにも「ここへ置くように」とちゃんと図で表しています。分かりやすいです。午後12時半くらいから、午後4時過ぎまでで、0.65ユーロでした。
 

これがチケット             TICKET VISIBLEと表示されてます

 時刻は12時半。お昼を食べておかなくては。
 近くには簡単なバルもありましたが、もうちょっと歩いてみることにしましょう。
 車を停めた場所は、大きな公園の下手でした。たぶんBarbana川の近くだったのではないかと思われます。坂を上がっていくと、なにかの香りがしてきました。香水のような、とてもいい香りです。
 香りにひかれて歩いていくと、ネムノキの花が満開でした。

                   
                    ネムノキ                 ふわふわの花

 甘い、桃のような香りです。ねももマチルダも、ネムノキの花に香りがあることを知りませんでした。
 ネムノキはマメ科の落葉高木で、木の皮にも香りがある香木です。薄紅色に染まったふわふわしているものは、おしべなんだそうです。辺りにはたくさんのネムノキが植えられていて、やさしげなの花の香りに満ちていました。
 落ちている花を拾ってみたのですが、ほんとうにふわふわ。極上の化粧ブラシのようです。こんなにキレイなのに、花の命は短いのか、見ている間にも次から次へと落ちていきます。ネムノキって、名前から勝手に日本ぽいと思っていましたが、どうやらスペインにもたくさんあるみたいです。そう思ってみれば、なんとなくフラメンコで使うアバニコ(扇)にも似ているような。

            
            公園のそばの市場           新鮮な野菜がたくさん         そろそろお片づけかな 

 公園をぐるりと巻いて上がっていくと、市が立っていました。もうすぐお昼休みなのか、すでに片づけが始まっていましたが、おいしそうなトマトや、見たことのないレタスや、キレイな花が売られていて、地元の人がカゴを持ってお買い物しています。地産地消という感じでしょうか。スーパーマーケットも便利だけど、スローライフは捨てがたい魅力がありますね。滞在できるのなら、ねももお買い物したかったです。

 坂を上がりきると、また公園のようなものがあり、人が集まっていました。
 なんだろう。
 いかにも古そうな建造物で、みんな写真を撮ったりしてます。

 あっ、温泉だあ。

            
            Las Burgas               あちちっ。               湯気が立ちのぼっています 

 ここはローマ人も重用した源泉Las Burgas(ガリシア語ではAs Burgas) みんなこわごわお湯に触れています。
 温泉といえばのニホンジン。ここはいっちょ手だけでもつかってみようかね。

 おおおおうっ。あぢぢぢっ。

 50度から60度ぐらいはあるんじゃないでしょうか。
 いやホントに熱かった。
 みんな腰が引けてたのは、熱かったからなのね。
 滔々と流れ出す源泉からは、もうもうと湯気が立っています。

 オウレンセでは、この10月にTERMATALIAという国際温泉ツーリズムフェアが開催されたそうです。ミーニョ川の方には和風温泉施設もあると言うし、本当に温泉で(ローマの昔から)町おこししてるんですね。
 後で調べてみたら、ねもたちが通過してしまったVerin(べリン)という町も温泉町で、ベリンのパラドールでは蛇口をひねると温泉が出てくるのだとか。
 がーーーん。
 知ってたら、ガリシア滞在をもっと延ばしたのにいいいーーーーっ。

 Las Burgasにあった町の案内看板を見ただけで、全然知らない町を歩く私たち。
 だいたいの勘で、旧市街へ向かいます。Las Burgasのすぐ東側へ歩いていくと、旧市街があるはず。
 不安ながら歩いていくと、果たしてそれらしい街並みがありました。

            
            ここかな?                ここっぽい?              それらしい!

 旧市街に入ると、カテドラルとかなんとか教会とかの行き先表示が出てきます。これでとりあえずは町の中心には行けそうです。とにかくはカテドラルを目指し、道々レストランなど探しながら歩きました。
 オウレンセは思っていたよりずっと大きな町でした。ガリシアではヴィーゴ、ア・コルーニャに続く第3の町なんだそうです。旧市街は落ち着いた感じもありますが、結構観光客も多いし、地元の人もせかせか歩いていて、田舎町という感じはありません。のんびりしたアヤリスから来ると、ちょっとドギマギしてしまいます。プラセンシアをずっと大きくした感じでしょうか。

            
            カテドラル                巨大な衝立と香炉          薔薇窓がどうしても「米」に見える…。

 お昼休みギリギリでしたが、カテドラルに入ることができました。
 曇りだったせいもあって、中は暗く、金色の衝立がぼうっと浮き上がる様子は、神秘的でした。
 どうもこのあたりの教会は派手ですね。
 サラマンカのサン・エステバン修道院をぐっと小さくしたような衝立は、豪華絢爛。祭壇の前には大きな香炉が吊り下げられていました。きっと礼拝の時にはこれに香をたいて振り回すのでしょう。たったの5分ほどでしたが、サンティアゴ・デ・コンポステーラに行く前に、ひっそりとした静かなカテドラルを味わうことが出来てよかったです。

 カテドラルもお昼休みに入ったことだし、我々もお昼ごはんにしよう。
 来る時にチェックしておいた、カテドラルすぐそばのALPENDLEというお店に入ってみました。
 店内は、まだランチが始まったばかりで空いていました。
 こげ茶のテーブルに深いブルーのランチョンマットが素敵。お店の人も感じが良くて親切でした。

            
            レストランALPENDLE          テーブルセッティング          パドロン産ピミエントス 
            
            マッシュルームの炒め物        アスパラサラダ             エビのニンニクオイル煮

 ガリシアでご飯を食べるにあたって、ねもたちがどうしても食べてみたかったものがありました。
 Pimientos de Padron(パドロン産ピミエントス)です。
 名前のとおり、ガリシア地方のパドロンが産地のししとうです。
 南米から持ち帰ったハラペーニョを、辛い物が苦手なスペイン人が改良を重ねて今の味に作り上げたのだそう。
 パドロンという町ははサンティアゴ・デ・コンポステーラの近くにあります。この後、我々は産地の近くを通りもしました。(さすがに寄らなかったけど)ピミエントスは数あれど、パドロン産のがすんごくおいしいのだ!と聞いて、どーしても食べてみたかったんですよ。
 オリーブオイルで揚げて、ぱぱっと粗塩をかけだけのこれが、バルではおつまみの定番なんだそうですね。
 さて、注文すると一番に運ばれてきました!
 出来立てあつあつ。舌をヤケドしそう。だけど、えいっ。
 ぱくっ。

 ううううううまいーっ!

 うまかったー!
 写真ではどうもおいしそうに写らないんですけど……。本当においしかったんですってば。
 見た目は日本のししとうをずんぐりさせた感じ。甘くて、パプリカとししとうの間ぐらいの味です。軽いオリーブオイルが甘みとわずかな苦味と相まってうまいのなんのって。酒飲みじゃないねもだって、ビールいっちょうくれいっ、って気分になります。
 ひとつ食べると、もう止まりません。
 前に座ってるマチルダと分け合おうなんて気持ちは、もうどこにもありません。
 へたをつまんではぱくっ。
 うまさをじんわり味わって、またひとつ。
 まるでカニを食べる人のように、ふたり先を争って食べまくります。
 あっという間に、皿はへたの山になってしまいました。
 ところで、日本のししとうもそうですが。
 たまに先祖がえりしてるやつがいますよね。
 この皿にもいましたよ。
 ししとうの『当たり』って、なんであんなに辛いんでしょうねえ。口中が寒くなるほど辛いんですよねえ。そんでなんの中枢神経が刺激されるのか、涙流して笑っちゃうんですよねえ。素敵なロシアンルーレットですよねえ。

 さて、他のお食事だっておいしかったですよ。
 マッシュルームの炒め物は、見たとおりのシンプルな味。キノコ好きには堪りません。固めのパンに良く合う味です。
 アスパラサラダは、缶詰白アスパラの味。脂っこいものばかりだったので、オアシス的存在でした。頼んでよかった。
 Gambas al Ajillo(エビのニンニクオイル煮)は、「いけません」と思うほどの油に漬かってますが、ニンニクの味がきいてたまらなくおいしかったんですよねー。ここのお店はニンニクによく火が通っていて、美味でした。
 以上の4品に、お水をつけて25ユーロ。
 あーおいしかった。また食べようっと。

 この旅一番の発見は、ピミエントスかもしれないなあ。

                   
                    市庁舎                  サンタ・マリア・マドレ教会

 食後はマヨール広場の市庁舎や、かわいらしいサンタ・マリア・マドレ教会を見ながら、のんびり車に戻りました。
 マヨール広場には、観光用のチキトレインがいました。時間があったら、乗りたかったなあ。

 ロシナンテ号に戻った我々は、次なる町、サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かうべく、発進いたしました。

 ……いたしましたのですが。
 サンティアゴへは、ちゃんと行き先表示が出てました――――途中まではね。
 (たぶん)新市街のロータリーを幾つもくるくる回っているうちに、看板はふっつりと姿を消してしまいました。
 見逃したかと思い、元に戻ってみても同じこと。
 なんで途中で看板がなくなっちゃうのさー。
 マチルダも必死に看板を追っているし、ねもだって頑張ってぐるぐる運転してます。なのに、どうにもこうにもオウレンセから出られませーんっ。
 どこをどう走ったのか、町を抜け出しました。抜け出したのはいいのですが、もうここがどこだか分かりません。
 ハイウェイらしき道の行き先表示には、見たことのない町名しか載ってない。
 よくよく見渡してみると、OU536と看板が出ている。この道路はOU536というのか。
 で、OU536ってどこへ行く道路なんですか?
 マチルダは外に出て走り、ねもは地図とにらめっこ。

 結局、OUはオウレンセ県の県道であり、OU536はサンティアゴとはまったく逆方向に向かう(しかも大きな町をまったく通らない)道だったことが判明。
 ならばと町を迂回する道路を探してみたけれど、なさそう。町中からしか行けない様子。
 ……ううむ。またオウレンセの中に入るのか。
 しかし、現在地が分かっただけでも、儲けものと思うことにしよう。川の位置や道路の向きを確認して、再度挑戦。
 ぐるーんぐるーんとロータリーを回り、何度かのトライの後、なんとか脱出成功。
 4、50分も迷ってたでしょうかね。
 今度オウレンセに行く時は、市街地図を手に入れてから挑戦したいものです。


■聖地は遠し……雨のドライブ

 オウレンセをどうにか出てから、雲行きが怪しくなってきました。
 ぽつぽつ来たなあ、と思ったら、見る間に本降り。前を行く車のタイヤから、水しぶきが舞い上がります。
 折りしもロシナンテは山越え道路を走行中。
 標高が上がってきたとこで、泣きっ面に蜂、というやつでしょうか。霧まで出てきました。

 ひゃー、こわいよう。

 ヘッドライトを点けても、こっちの存在を知らせるだけで(いや、それも重要なんだけど)、運転するねもには前方が全く見えません。山道なのでカーブもしてるし、ただの国道なので路面もあんまし良くない。
 スリップしないように、前の車に近づき過ぎないように、とだけ神経集中して走りました。
 もう少し行けば、auto pista(有料の高速道路)に乗れる。そしたら少しは楽になるはず。

 ねもの緊張が、車中を沈黙に陥れます。
 ときどきマチルダが声を掛けてくれますが、余裕のない答えしか返せません。
 ロシナンテ号、セビリア出発以来の緊張感に包まれております。

 走ること30分ほどで、auto pistaのランプが見えてきました。
 相変わらず雨は降り続き、霧も消えませんが、少しだけホッ。
 順調に行けばあと30分でサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着できる。
 時刻はまだ3時台。ちゃっちゃとお参りしてこよう。

 しばらく行ったところに、peaje(料金所)がありました。
 システムは日本の高速道路とまったく一緒。
 空いてるブースに並んで、順番が来たら前方にデジタル表示される料金を係のお姉さんにお支払い。
 ちゃんとレシートもくれます。4.95ユーロでした。

 「ちゃっちゃとお参りしてこよう」
 なんて考えがヤコブ様のお気に触ったのでしょうか。
 AP53に乗ってサンティアゴに近づくに連れ、雨は一層強くなってきました。
 そのうえ、出口72を降りる手前あたりから、渋滞し始めました。
 この悪天候に、みんなお参りなのかい?
 かく言うねもたちもそうなんですが、とにかく混んでます。まだお昼休み時間だと思っていたのですが、みんながそろそろ町に戻ってくる時間だったのかもしれません。途中、道路工事もしていたようで、ますます動かなくなってきます。
 外はざんざん降り、車はじりじりとしか進まない。
 これじゃあ、お参りったって、カテドラル探してる間にずぶ濡れになっちゃうよ。

 ここで我々、ご英断です。
 世界遺産サンティアゴのカテドラルは是非見たい。でも、この雨では観光は楽しめない。
 サンティアゴはオマケ地図があるけれど、ものすごく簡単なのしかない。時間的にも、体力的にも、さっきのオウレンセみたいに、抜け出すのに手間取るわけにいかない。
 本日のお宿は、この先のア・コルーニャ。ほんの80キロほどとは言え、この雨の中、また山道を走って行かなくてはならないのだよ。
 分かった。今日はもう諦めよう。
 明日、来られるなら来よう。
 ご縁があるなら、来られるでしょ。

 ということで、町に入りきってしまう前に、適当なロータリーでUターン。出て行くほうも少し混んでいたものの、すんなりAP9に乗り、ア・コルーニャを目指しました。



                             
                                AP9上にて。どんよりした空

 途中、サービスエリアを発見。
 有料道路上であるからには、町に下りていくわけではなかろう。
 そろそろガソリンも入れておきたいし、ひと休みした方がいいね。スペインのサービスエリアも見てみたいしね。

            
            ガソリン入れま~す           お掃除しま~す             拭きま~す 

 サービスエリアに入ると、道路もガソリンスタンドもその奥のお店(コンビニ)も、全体に妙にキレイ。まだ新しい感じがします。
 まずはガソリン。
 種類が良く分からなかったので、コンビニのお兄さんに何度も確認させてもらいました。
 日本でもセルフのスタンドを使ったことのないねも。
 ちょっと不安ながら、ハンドルを上げてタンクにがんっと突っ込みます。ハンドルを握りしめると、ガソリンが流れ出します。満タンになっても分からなくて溢れちゃったらどうしよう、とか心配してたんですけど、自然にストップするんですね。ああ良かった。
 後はお店に入って行って、レジのお兄さんにお金をお支払いするだけ。もちろんクレジットカードも使えます。
 もうこれでひとりでガソリン入れられるぞー。

 お次は、スタンドに置いてあったお掃除グッズで、セルフお掃除。
 雨も小止みになり、少しお空も明るくなってきました。
 超乾燥の大地や、雨の山道を突っ走ってきたロシナンテ。フロントガラスも、ボンネットも汚れに汚れてます。お鼻のあたりには、なんと巨大なスズメバチ(もちろん死骸)がめり込んでいてびっくり。いつの間に衝突してたんでしょうか。
 
 シャワーまではないので、適当に汚れを落としたあと、ガラスだけはしっかり拭いておきました。まだ雨も止まないし、あとは自然の力で……ってそれでまた汚れるわけですがな。

 お掃除の後は、コンビニにて小休止です。

            
            tangerinaとロシナンテ         店内                   おやつ 

 このサービスエリアはまだまだ拡張中なのか、これでおしまいなのか分かりませんが、ガソリンスタンドとtangerinaというお店(コンビニ)しかありません。お店の感じは、日本のサービスエリアにあるようなコンビニとよく似ています。飲み物があって、スナック菓子があって、車関係のちょっとした小物があります。パンとコーヒーを出してくれるようで、立ち食べ用の背の高い円テーブルがいくつかありました。さすがにお弁当は売ってませんでしたが。
 ちょっとお疲れモードだったねもたちは、巨大なアイスクリームバーを買い、その場で食べました。
 バニラアイスにナッツ&チョコ。甘くて冷たくておいしーい。
 おいしいんですよねえ、こういう時のアイスって。少々お高めで3.90ユーロ。サービスエリア価格だったのかな。

 ひと休みして、甘いものも食べれば、また元気になるふたりです。
 れっつごー、ア・コルーニャ!
 雨は降ったり止んだり。auto pistaの路面はまあ普通。なぜ今まで走ってきたタダの高速の方が状態が良かったんでしょうか? 走りにくいというほどではありませんが、舗装がちょっと古びた感じがあります。
 山の中をうねうね走り、上ったり下りたりを繰り返しているうちに、なんとなく空が明るくなってきました。

                             
                                雲が切れてきた!

 雲の切れ目から、ちらちらと眩しい光が降ってきます。お天気雨のようなシャワーの空を見上げると、かすかに色彩のアーチが。

 あっ、虹!

 気づいた時は、すでに虹のふもとを走っていました。
 消えかかってはいましたが、確かに虹です。 ガリシアで見る、初めての虹。こんなに淡くなっていても色が判別できるほど、アーチの幅があります。きっと大きなアーチだったのでしょう。
 もうすぐ到着する、ア・コルーニャの町からは見えたでしょうか。
 悪天候ドライブを頑張ったご褒美のようで、なんだか嬉しい気分。
 あまりに儚い虹で写真には収められませんでしたが、とってもラッキーな気持ちになりました。。


■コスモポリタンの町、ア・コルーニャ

 虹を走り抜けた我々とロシナンテ号は、間もなく下りにかかりました。
 海へと下りていく道路の先に、大きな町が見えてきました。ア・コルーニャです。
 ア・コルーニャは、ガリシア州第2の都市です。
 自治体としての正式名称はガリシア語の「ア・コルーニャ」ですが、スペイン語の「ラ・コルーニャ」も広く使われています。空港コードなんかはラ・コルーニャになっています。

 思わぬ大都市にびびりながら高速道路を降りましたが、割りと頻繁にホテルの看板が出ていたので、奇跡的にスムーズに本日のお宿Hotel Zenit Corunaに到着。
 というか、周囲の車に追われるように町に入り、どうにか看板を見つけて、ふっと地下に入ったかと思うと、目の前に出てきた「ここを右」という看板に思わずハンドルを切ったら、そこはホテルだった、という状況でした……なのでもう一度スムーズに行けるか、と言われると甚だギモンではあります。(たぶんムリ)

                             
                                Hotel Nenit Coruna

 ホテルはオルサン海岸から1ブロック入ったComandante Fontanesという通りに面しています。通りはあまり広くないし、目の前もビルが立ち並んでいるので、リゾートという感じはありません。開放感はないかもしれませんが、ホテル自体は立地はいいし、レセプションは明るくてキレイだし、スタッフは感じいいし、気持ちよく滞在できましたよ。

            
            ベッドは普通サイズ           意外と狭い               バスルームもきれい  

 ホテルは比較的新しいのでしょうか、お部屋はコンパクトながら清潔。床やベッドのヘッドボードは落ち着いた焦げ茶。直線的な照明やデスクがモダンです。バスルームはガラスの洗面台(ダブルボウル!)どことなくACホテルに似ているような。こういうのがスペインのモダンホテルの流行なのかな。
 壁紙は、天井以外すべてベージュのストライプなのが特徴的。ストライプの幅が広めなので、可愛らしい感じでした。誰が撮った写真を見ても、「あっ、Zenitだ」って分かるから、いい宣伝になりますね。
 部屋は幅が狭く、天井もそんなに高くないので、体の大きい人は圧迫感があるかも。他のサイトさんを見てると、あまりに狭くて部屋を変えてもらったという人もいるようです。狭いとこ好きなねもは平気ですけどね。ベッドも普通サイズだし、なにより清潔で快適。お掃除ばっちり、アメニティも揃ってます。ちょっといいシティホテルという感じですかね。
 シャワーは可動式、バスタブあり。カーテンではなく、ガラスの扉で途中まで仕切られているだけなので、上手に入らないと床が水浸しになります。ガラスを使うのはカッコイイんだけど、お湯をたくさん使うニホンジンには向いてないんだよなあ。
 窓はベッドの奥にひとつ。横長の外開き窓です。レバーを押してぐいっと上に持ち上げるタイプ。ねもは小さいので、レバーごと連れて行かれそうになります。ここは607号室。日本式の7階。わりにスリリングです。

 窓を開けた途端に潮風が流れ込みます。顔を出すと、目の前をカモメが飛んでいて驚きます。
 ああ、海までやってきたんだなあ。

 ただ今の時刻、午後6時半。
 まだまだ明るいスペインの夏です。
 ガリシアに来てから、あんまりスペインという感じがしません。じゃあどこなのか、と言われても困るのですが、いわゆる闘牛・フラメンコ・ラマンチャ というスペインではないんですよねえ。
 潮の香りと、時折ぱらつく雨にはばたくカモメと、立ち並ぶ近代的なビル。
 今朝までいたアヤリスともまったく違う景色です。
 本当にスペインという国は広いんですねえ。

 そもそもア・コルーニャに来ることになってしまった可愛い路面電車の夏季営業は、9時半ごろまで。であれば、早速乗りに行かなきゃ。ついでにローマ時代の灯台、エルクレスの塔を見てこようか。

 ア・コルーニャには、先ローマ時代から人が居住していました。紀元前62年には、カエサル(ジュリアス・シーザー)もここを訪れています。ここを「ブリガンティウム」を名付けたローマ人は、港を建設し、灯台を建てました。
 これが「エルクレスの塔」と呼ばれる、ローマ人のものとしては現存する唯一の灯台です。エルクレスはスペイン語読み。みなさんご存知のギリシャ神話の英雄ヘラクレスのことです。
 世界最古の灯台とも言われているこの灯台が現在の形になったのは18世紀のことだそうですが、今なお現役なんですよ。そのうち世界遺産になったりして。
 たったの2ユーロで塔頂まで登れるとあっては、ぜひ登らねば。

 レセプションで地図をもらい、まずは路面電車です。
 風があるので少々肌寒い感じもありましたが、天気が回復してくれたので、うすいカーディガンでもあれば充分な感じです。
 乗り場はホテルから海岸に出てすぐの場所にありました。ちょっと待ってみたけれどなかなかやって来ないので、リアソルスタジアム近くの始発駅までぷらぷら歩くことにしました。


オルサン海岸              海岸沿いにあった大きな碇       海沿いのプロムナード      奥がオルサン海岸、手前がリアソル海岸

 ホテル紹介のサイトの写真では、多くの海水浴客が寝転がっていたオルサン海岸も、今日は砂浜にいる人もまばら。
 気温は21度ぐらいだったでしょうか。風もあったのでさすがの欧州人も寒かったかな。
 晴れていれば是非海水浴したかったんだけどな。
 前方にスタジアムの屋根が見えてきたら、もうすぐ始発駅です。

            
            路面電車の始発駅           サイズもデザインもかわいい     ノスタルジックな車内 

 路面電車は2ユーロ。路線はいくつかありますが、観光用とあって、路線図を見れば簡単に分かるようになっています。
 歩いている時はそうでもなかったのですが、ここまで来ると人が増えて、電車もすぐに満席になりました。みんな観光客。子供も大人もワクワクした顔をして出発を待っています。遊園地の乗り物に乗っているみたいで、楽しい雰囲気です。
 ごとん、ごとん、と走り出すと、みんなカメラを構えて記念撮影が始まります。

 電車はリアソル海岸からオルサン海岸へと、ところどころで客を乗せたり降ろしたりして、のろのろ進みます。豪華なホテルマリア・ピタの前を過ぎると、日本人建築家 磯崎新さん設計の人類博物館の前を通ります。海に向かって帆を張っているかのような、緑色スレートのファサードが印象的な建物です。ちょっと目にはどういう建物か想像できません。海外でも著名な磯崎さんの作品はビルバオでも見ました。当時は建築中のイソザキタワーでした。
 ポストモダンの磯崎さんの作品が不思議に馴染むア・コルーニャの新市街は、かなり現代的です。
 さっき歩いてきたプロムナードもその横のAvda.de Pedro Barrie de la Maza(長い…)も、幅の広い道路で、そこに立ち並ぶビルも近代的。政府観光局のパンフレットにも 「この町にはよそ者がいない と言うほど開放的でコスモポリタンな都市です」とあるとおり、昔から先取的な町なのでしょう。
 失礼ながら、日本から見れば、ここは遠いユーラシア大陸の端っこの町です。もっとノスタルジックな町を想像していたので、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。ビルバオほどとんがってはいませんが、いずれそうなるのかもしれません。
 ホテルで貰ったア・コルーニャの分厚い観光パンフには、たくさんの美しい海岸が紹介されていました。ビルが立ち並ぶオルサン海岸でさえ、驚くほど水がきれいな海岸です。アートもあり、リゾートもあり、工業港ですから当然ビジネスもある。おいしい海産物があって、世界に名だたる観光名所もあるア・コルーニャは、もっと日本人に知られてもいい町なのではないか、とつくづく思いました。(なので、ねもが紹介しますよー!)

                           
                              架線用の電柱もこんなにお洒落

 路面電車が大西洋に突き出た半島をぐるーっと回り込んだところが、エルクレスの塔への停留所です。停留所名なんて分からなくても、塔が見えてくるし、みんな降りていくので分かります。

            
            停留所から見た塔            エルクレスの塔(奥)とエルクレスの立像(手前) 

 停留所からは遠く感じる塔ですが、歩いてみるとそんなに距離はありません。キレイに整備された公園のような舗道を歩いていけばいいのでラクラクです。
 ところで、上の写真の立像はエルクレス(ヘラクレス)です。なんともぷっくりしたヘラクレスで、ちょっとユーモラスでさえあります。ギリシャで見るヘラクレスの像とはかけ離れていて、とても同一人物を表現したものとは思われません。これも著名な彫刻家の作品なんでしょうか。感性の違いというのは、面白いものですね。

 停留所から10分も歩かないうちに道は登りになり、塔に入る階段へと続いていきます。

                            
                                 Torre de Hercules

 逆光だったので写真では石の色がよく分かりませんが、赤味のあるベージュ色です。遠くからだとちまっと見えるのですが、近づいてみるとやはり大きな灯台です。
 入場料2ユーロを払うとパンフレットをくれます。英語とスペイン語、そして(たぶん)ガリシア語での解説が載っています。

                   
                    ローマ時代の遺構            こんな階段をあがっていく

 中に入ってすぐに目に入るのは、ローマ時代の遺構です。
 発掘してそのまま放り出したみたいに、大きな石がごろごろ転がっています。ところどころ板を渡してあり、照明も工事現場みたいです。奥まで歩いていくと、階段があります。
 よおーし、登るぞう。

                             
                                目が回る~。

 階段は狭く、降りてくる人とようやく行き違えるくらい。くるくる巻きながら上がっていくので、目が回りそうになります。
 くるくるくる回って回って登りつめると、
 ごおおっ。

                             
                                ひ~。(ちと大げさ)

 すごい風圧です。
 さすがは海に突き出した灯台。当たり前ですが回りに遮るものなんて何もありません。吹きっさらしです。
 ねもにカツラ疑惑があるなら、完全に自毛を証明できるような風です。(意味不明)
 やや大げさですが、いや、大げさではなく、本当に風が強くて長くいられそうもありません。とりあえず撮影ですっ。

            
            エルクレスの塔より大西洋を望む   フェロール方面             ア・コルーニャ市街地 

 見渡す限り、大西洋です。水平線が、大陸の果てにきたことを実感させてくれます。
 とうとうここまでやって来たんだなあ。
 南のセビリアを出発してから、9日目。
 真っ赤な大地を走り、山道を走ってついに大西洋に到達しました。
 ここでユーラシア大陸は終わり、この海の先にはイギリスがあるのです。
 
 1588年、リスボンを出航したフェリペ2世の無敵艦隊は、ここ、ア・コルーニャに寄港してからイギリス海峡に出撃します。ここは対イギリスの砦でした。歴史が示すとおり、海戦は大敗に終わり、その後のスペイン衰退の予兆となってしまいます。ですが、 ア・コルーニャはその後も重要な港であり続け、19世紀にはナポレオンとも戦い、スペイン独立戦争の舞台ともなります。
 世界史の教科書で習った「コルーニャの戦い」が、200年前のここで何故起こったのか、この場所に立つことでようやく納得できたように思いました。予備校時代の世界史の先生の言葉「地理を理解しなければ、世界史は理解できない」を、体感できた瞬間でした。

 感動的な眺めもいいですが、なにしろ風が強い。このままここにいると凍りそう。
 下界に降りて、塔から見えるコンパスまでお散歩してみることにしました。

            
            道はどこまで続くの~?        まだまだよ~。              ……もういっか……。 

 お散歩道は何本も整備されていて、歩きやすいです。ワンちゃんを連れてジョギングされてる方もいます。
 しかしですね。
 遠いんですよー。そして風が強いんですよー。もう8時半過ぎてるんですよー!
 こんなところで日没を迎えてはオソロシイ。
 ということで、途中で断念。
 そしてふたりは、道々お花などを愛でながら、町に戻りましたとさ。


塔の周りにはたくさんの花が。みんな小さくて、かわいらしい花ばかり。潮風に耐えて、一生懸命咲いていました。

                             
                         少し離れて見あげたエルクレスの塔。なんだか淋しそうに見える


■ガリシアの味

 夕食は、もちろんガリシア料理です。
 いやーびっくりしました!
 Estrella通りからFranja通りまで、バルがぎっしり立ち並び、人人人の大混雑。魚や肉が焼ける匂いがあちこちから漂います。ワインを立ち飲みするだけの店もあれば、きちんとしたテービルセッティングのレストランもあります。
 人気の店はもう満杯。ものすごい活気です。
 まるでサン・セバスチャンのバル街、Fermin Carbeton通りみたいです。いや、こっちの方が規模が大きいかもしれません。いやはやア・コルーニャには驚かされてばかりです。

                             
                                人でいっぱいです~。

 いったいどこに入ればいいのか見当もつかなかったので、とりあえずガイドブックに載っていたメソン・ド・プルポに行ってみました。そしたら、もう満員御礼、全然入れません。
 ひゃー、人気店だったのねー。
 うわー、どうしよう。あんまし混んでるのも嫌だし、かといってあまりに空いてる店は不安。
 ということで、適当に人が入っていて、入りやすい雰囲気だったここ↓に決定。

                             
                                MESON O GALEGO

 ガリシア料理店、とでもいう店名なのでしょうかね。
 もちろん、ガリシア料理をいただきますよー。
 ガリシア風スープ、帆立のグリル、エビの鉄板焼き、パドロン産ピミエントスをチョイス。折角のお料理なので、白ワインをグラスでオーダーしました。


ガリシア風スープ            帆立のグリル              エビの鉄板焼き            パドロン産ピミエントス

 ガリシア風スープは、なんの野菜が入っているのかよく分からないけど、とにかく緑たっぷり。塩味ベースのやさしい味で、お腹があったまります。でも、お皿にたっぷり入ってくるので、完食できず。ふたりでひとつで良かった。
 帆立のグリル、めちゃうま! マジでほっぺた落ちますー。
 「ガリシアで絶対に帆立を食べる!」と心に決め、vieira(ビエイラ)という単語(のみ)を覚えてきたねもたち。しっかりオーダーできましたよー。帆立はぷりっ、魚介エキスたっぷりのソースはふわっ。もーおいしかったー。お代わりしたかったよー。
 エビの鉄板焼き、これはシンプルそのもの。熱々のエビにレモンをたっぷり絞って食べるだけ。文句なしにうまいっ。日本人の好きな味ですよねー、これは。
 ピミエントスの素揚げ、この店が一番塩加減が上手だった。甘いピミエントスがああああもうたまりません。ししとう好きには堪えられないおいしさ。
 下戸なふたりにもおいしい白ワインだったし、至福。
 これで全部で40ユーロ。夕食としたら、まずまずのお値段ではないでしょうか。

 ア・コルーニャ、恐るべし。
 ねもたちのスペイングルメランキングでは、オンダリビアに並ぶ美食の町に躍進。
 いやむしろ、店も町も開放的でいやすい雰囲気と、大都市ならではの便利さ、食事の選択肢の多さと値段を考えれば、こっちに軍配があがってしまうかも。
 こんな素晴らしい町と知っていれば……って、今回こんなことばっかり言ってますね。
 本当に1泊しかできないのは勿体ない。旧市街やサン・アントン城、前を通過しただけの人類博物館、メソン・ド・プルポに、結局挑戦できなかった珍味ペルセベス(亀の手)。あと2泊しても足りないかもしれないなあ。
 「知らない」ということは、勿体ないことなんですねえ。こりゃまた来ないとー!

                             
                                夜のオルサン海岸

 ほろ酔いでホテルに戻ったのは、午前0時近く。
 どうやってお風呂に入って、髪の毛乾かして寝たのか憶えてません……まあ、いつものことではありますが。

 今日も、あっちこっちでいろんなものを見たなあ。
 いよいよ明日、この旅の最終目的地ヴィーゴに向かいます。ア・コルーニャからは約180km、2時間弱の距離。もうほとんど着いたようなものです。
 明日はお天気に恵まれますように、そしてサンティアゴ・デ・コンポステーラにもお参りできますように。
23:54 2008spain | コメント(0) | トラックバック(0)

2008spain8

2019/03/31
■最長ドライブへGO!

 おはようございます。
 本日も寒いサラマンカでございます。

 寒くなるととたんに動きがのろくなるねも。
 朝ごはんをのったり食べ、ゆっくり準備して、たぶん10時過ぎぐらいに出発。
 昨日のうちに、ミネラルウォーターにルイボスティーのティーバッグを投入。朝にはオレンジ色のお茶が作成されております。 前回北スペイン旅行以来、ルイボスティー作りは、ふたりの日課です。
 お茶は作成済みなので干からびることはないはず。お腹が空いたら、途中の町でおやつを追加しよう。

 本日の道程は、まっつぐ行って306km。約四時間。この旅最長のドライブです。
 ここから先は、ガイドブックにもあまり紹介されていない町ばかり。地形を見ても山がちにもなるし、auto viaでもなくなるので、そうそう飛ばせないかも。途中、どこかで休憩もしたいし、そうなるとまた距離が伸び、時間もかかるでしょう。
 ロシナンテ号の頑張りが求められますな。

 ルートは、サラマンカから国道N630を北上、Zamora(サモラ)を過ぎたところでいよいよ「銀の道」に別れを告げ、西に向きを変えてN631に入ります。N631を北西に走ると、ガリシア地方を西に横断するA-52に合流、しばらくポルトガルとの国境近くを走ります。そして、202出口で降りてN525を北上、県道OU152に入ればゴールのAllarizはもうすぐ。(のはず)

 本日のお宿は、AC Villa de Allarizです。我々が大好きなACホテルグループの、セレクションホテル。つまり「いい」ホテルです。なんと温泉ホテルなんですよ。スパでまったり、が本日のテーマです。(だったら早く出かけようよ~)
 Allarizは、アリャリスと表記していたりもするようですが、ねもの旅行記では、スペイン政府観光局のパンフレットに従ってアヤリスと表記することにします。
 この町は、巡礼と温泉で有名なオウレンセの手前21kmのところにあります。オウレンセの町外れには、和風温泉施設があります。ホームページを見てみると、笑えるほど日本です。日本の温泉に惚れこんだ支配人が、日本の温泉職人を招いて作ったのだそうです。海外の温泉は、猫肌(?)な民族が多いのかお湯がぬるいところが多いと言いますが、ここの温泉はばっちり熱いのだそう。是非行ってみたいと思っていましたが、意外に遠かったので断念しました。
 オウレンセ周辺では、温泉サミットを開いたりして町おこしをしているそうで、アヤリスはそういった町おこしの成功例のひとつなんだそうです。
 しかし、この町もまったくといっていいほど日本語情報がありませんでした。一体どんな町なんでしょうか。
 ただACさんのスパに入りたいばかりにアヤリスに向かう私たち。
 しかも、ねもがインターネットでプリントアウトしたアヤリスの地図には、通り名が一個も載っていないことが、現地で判明。がーん。(事前に気づけよ……)頼みの綱のインフォメーションがどこにあるのかも分かりません。
 やば過ぎです。無事に辿り着けるのでしょうか。

 とにもかくにも、この上は早く出発するに限ります。(もう遅いってば)
 ホテルが町の外周を走るAv.de Miratにすぐ入れる立地だったので、Puerta de Zamora広場のロータリーでぐるーんと回ったら、Pas.de Dr Torres Vilarroelに入り、N630へ。ナビ師マチルダの指示もだんだん熟練してきて、スムーズにサラマンカを脱出できました。
 本日は快晴。
 快適なN630を走っている間に、だんだん暑くなってきました。
 いいねえ、夏再来だねえ。

                   
                    雲がどんどん小さくなっていく~

 サモラまでは約68キロ。1時間ちょっとのドライブです。
 片側一車線道路になったとはいえ、ガラ空きだかららくらくです。サラマンカに来た時の渋滞がウソのようです。
 ほどなくサモラの端っこに到着。
 サモラ観光もしたかったのですが、時間に不安があったので町の手前にあったスーパーマーケットEROSKIでお買い物&お食事することにしました。EROSKIは北スペイン編でもご紹介したとおり、バスクのモンドラゴン協同組合企業体(MCC)が経営する大型スーパーです。
 ここは郊外型スーパーという感じで、車のディーラーや、マクドナルドなどが入った複合商業施設になっていました。駐車場もだだっ広くて、ゆうゆう停められます。

                             
                 エロスキー巨大です。手前の看板にはMAC AUTOと書いてあります。ドライブスルー?

 中に入ると、巨大な売り場が我々を迎えてくれます。
 圧倒的な品数に惑わされます。どこから何を見ればいいのか、そして自分は何が欲しかったのか、全然分からなくなってしまいます。

           
           ここでも活躍お買い物カート      遊園地みたい。             生ハム売り場

 ここでは、ランハロンの水2Lと、HEROのジュース、そして自宅&お土産用にスポンジを購入しました。
 スペインのEROSKIとハワイのハレイワスーパーマーケットには、ねもがこよなく愛するspontexというスポンジが売られているのです。
 それがこいつ↓です。
     

 そう、お土産にスポンジ。
 なんてケチな、と思います? でもね、これ、優れものなんですよ。
 上の黄色の部分が柔らかいスポンジ、下の緑の部分が固いタワシ部分です。スポンジ部分は結構しっかりしていて、なかなかへたりません。タワシ部分も固すぎないので、食器に傷がつきにくい。なにより絶妙なのが、その大きさです。平均よりかなりミニサイズなねもの手にもすっぽり入るんです。小回りがきくので、普段使いのマグカップとかお茶碗とか洗うのに最適。とっても使いやすいんですよー。
 東京の普通のスーパーマーケットでは見かけないんですよねえ。どこかに売ってませんか?

 スポンジの力説はおいといて。

 スーパーでのお買い物が終わると、時刻は12時過ぎ。まだまだ先は長いし、これからは大きな町も少なくなる。
 ご飯食べとかなきゃ。
 でも、これからサモラの町に入って行くと、出発が遅くなる。そして、都合のいいことに、ここにはサラマンカで入れなかったマクドナルドがあるじゃないですか。
 よーし、ご当地メニューにチャレンジだ。

 スペインのマクドナルド、ちゃんとファストなんでしょうか。
 カウンターでおいしそうなサラダでしばし悩み、注文。「マックのお姉さま」は元気にオーダーを通し、明るく会計してくれます。
 そして、おもむろにねもたちのオーダーを用意してくれます。全然急ぎません。マイペースです。
 日本のマックにあるまじきスローっぷりです。さすがはスローフードの国。お客さんもオーダーに迷いまくりますからね。スローな雰囲気にならざるを得ないんですけどね。
 あ、もlしかしたら、あれでも急いでたのかもしれませんけど。

 ややあって、マンハッタンサラダと、マックフルーリーのCONGUITというものが出てきました。

                   
                    カウンターはのんびりムード     マンハッタンサラダとマックフルーリー

 マンハッタンサラダ(何故にそのような名を…)は、レタスをメインに人参、プチトマトなどお野菜たっぷり、上にはマックナゲットみたいな鶏肉の揚げ物がバーンと乗ってます。写真で見ても分かるようにサイズ大きいですよねー。これに小さなパンでもつけたら、夕食にだってOKです。
 これがおいしかったのは、お野菜がたくさん入っていたことと、ドレッシングです。サウザンやイタリアンみたいなドレッシングも選べるんですけど、カウンターのお姉さまのオススメで、オリーブオイルとビネガーをいただきました。サラダの横に寝ている赤い袋がオリーブオイル、その横のYって見えるのがビネガーです。袋のサイズが大きいですよね。どっちも好きなだけ、たっぷり使えるんです。ねもはお酢大好きなので、たんまりかけて食べました。おかげで揚げ物もさっぱり、お野菜もシャキッとした味でパクパク食べられました。
 マックフルーリーのCONGUIT味というのは、なんかよく分からなかったのですけど、バニラソフトにホワイトチョコのチップがたくさん混じっていて、上にキャラメルソースとナッツがかかっている、という禁断の高カロリーデザートです。
 禁断ゆえに……おいしかったー。これだけでも充分お腹一杯になりそう。日本にもあるんでしょうか。どう考えても人気出そうな組み合わせ。他にオレオ味とかもありました。

 お腹もいっぱい。個室の用事も済ませた。

 さあ、マチルダのスペインドライブデビューといきますか。

 まずは、EROSKIの広大な駐車場を教習所代わりに試運転。
 慣れない左ハンドルマニュアル車に、慌てるマチルダ。車はひきつけを起こしたみたいにガクガクしてます。
 でも、マチルダはねもよりずっと経験のあるドライバーですからね。
 ハンドル捌きはお手のもの。左ハンドルだってすぐに慣れちゃいそうです。
 とりあえずねもが町を脱出して、直線道路になったら運転交代することにしました。

 サモラは新市街から車で通り過ぎる時に見た感じでは、それなりの規模の町でした。
 旧市街には大聖堂があり、町を流れるドゥエロ川にはローマ橋がかかっています。
 ああ、時間があればここもゆっくりお散歩したかったなあ。

 車はN630を北上し、まもなくN631との分岐にかかりました。このままN630で東行けばBenavente(ベナベンテ)に着きます。ロシナンテ号は、N631に入り、西を目指しました。

 道路はほぼ直線。車も少ない。いつでも路肩に寄せてドライバー交代できます。
 いよいよマチルダの出番です。

                             
                               マチルダさーん、びびってますかー?

 えーと、シフトレバーが右手で、クラッチは左足。ウィンカーがこっちで、ワイパーがこっち。
 マチルダ、確認に余念がありません。
 レバーを1速に入れ、アクセルを踏み、発進。
 マチルダ、「怖いよー」を連発しながら運転してます。横で見ているねもまで、思わず足をつっぱってしまいます。
 しばらく走っているうちにコツを思い出したと見えて、マチルダはスムーズに運転しはじめました。ねもも安心して車窓からの写真撮影をします。
 ああ、助手席ってのもいいもんだなあ。


ねも、初めて車窓から撮影。     Argavanzal湖と思われます     雲の形がかわいい           まっすぐー。    

 Argavanzal湖を渡る、ものすごく折れ曲がった橋を進むと、A-52に入ります。
 それまで暢気に写真撮影などしていたねも、すっかりナビのお役目を忘れていました。分岐での指示が間に合わず、ロシナンテは逆走。ごごごめんなさーい。

 いつのまにか、辺りは湖と起伏のある緑の大地に変わっていました。
 サモラを出て約2時間。そろそろ休憩したいところです。
 国境近くのVerinまで行こうかと思っていましたが、まだまだ距離があります。地図を見ると、この近くにパラドールマークがついてる。パラドールがある町ということは、観光地なのでは。

 その町は、Puebla de Sanabriaという名でした。サモラからは116km。Cabrera山脈を背にしたサナブリア谷にある町です。風光明媚なサナブリア湖までは12km。
 この湖は、なんと氷河期からあるんですって。現存するものとしては、ヨーロッパ最大なのだとか。後で調べて驚きました。見に行っておけばよかったー。
 さらに、この町自体も、サモラ近郊では最も古い歴史を持ち、中世の面影をよく残しているのだそうです。
 サモラ県の町は、日本のガイドブックではあまり紹介されていません。ねもたちのガイドブックにもサモラしか載っていませんでした。事前情報としては、パラドールのサイトでちらっと写真をみたぐらい。
 でもこんなところに来られるのも車ならでは。ということで、寄ってみることにしました。

 町に入る直前で、ドライバー交代。
 やはり久々のマニュアル走行では、減速が難しいとのことで、マチルダ操るロシナンテ号はガクガクしながら路肩に停車しました。
 ねもは運転は好きなので、一日中運転してたっていいんです。疲れると言ったって、公共交通機関での移動だって緊張して疲れますし。
 でも、ナビは大変と思いました。助手席で少し休憩できるとか思ってましたが、「ナビやれ」となると途端に弱気です。地図が読めないわけではないけど、やや方向オンチ気味なねも、ものすごく不安。あれだけマチルダに「次、どっち? どっちなの?」と、即決を促しておきながら、いざ自分の番になると……いやはや面目ない。
 ねもにはマチルダの足となってハンドル握ってる方が向いてます。
 やはりナビ師のレベルには遠く及ばないねもなのでした~。


■Puebra de Sanabria

 A-52を降りて、ロータリーをぐるんと回ると、なんとなく高原ぽい道になってきました。
 幾らも行かないうちに、可愛らしい町が見えてきました。

                             
                             Puebra de Sanabria カテドラルが見える

 町が見えてからはあっという間。町の中心を通り過ぎ、少し行った場所で車を停めました。
 ドアを開けると、爽やかな風が吹き通ります。日差しは強いけれど、風のおかげで気持ちいい。
 時刻は午後3時過ぎ。
 スペインはまだお昼寝の時間です。
 カフェでは旅行客がビールやお茶をのんびり楽しんでいました。こんなに小さな町なのに、それなりに賑わっています。乾いて涼しい風、おいしい空気。さながら高原のリゾート地といった趣です。

           
           ロシナンテは休憩            町の中心の噴水            噴水の前にあるインフォメーション

 町の中心と思われる小さな広場には、噴水とインフォメーションの看板(だけ)がありました。近くにあるインフォメーションはもちろんシエスタ中です。噴水といっても、水がちょろちょろ流れ落ちているもので、どちらかというと水汲み場みたいな感じです。後で調べたら、やはり湧き水だったようです。ああ、飲んでみればよかった。
 iマークがついている看板には、簡単な地図と、確かバスのタイムテーブルなどが書かれていました。
 ねもたちは長居できません。とりあえず町の上まであがって、カテドラルとお城を見学することにしました。
 丘の上に乗っている町なので、当然ながら坂道を登っていくことになります。

 日差しは強く、少し喉も渇いていました。
 でも、あまりの可愛らしい街並みに、ドライブの疲れも吹き飛びました。ゼラニウム、つるバラなど、あちこちの窓に飾られている花は、やさしいベージュ色の壁にとても映えます。素敵なポサーダ(宿)があり、入口にフォークの絵が掲げられた「もしかして有名なお店?」と思われるようなレストランがあります。
 日本ではほぼ無名かもしれないけれど、ヨーロッパでは知られたリゾートなのかもしれないなあ、と思いました。


旧市街への入口            ポサーダ&レストラン          つるバラが美しい            みんなシエスタ中   

 本当にどこも可愛らしくて、またしても「ここにも泊まりたかった」と思わされました。
 こんなに空気がきれいなら、きっと夜空も素晴らしいに違いありません。ああースペインは奥が深いなあ。

 坂を登りきると、マヨール広場に行きあたります。ご多分に漏れず、広場には車がたくさん停まっています。
 町役場は15世紀の建物です。ここにはインフォメーションがあります。広場の奥には、Nuestra Senore del Azogueという12世紀の古代ローマ教会が、そしてその奥に建つSan Cayetano churchは新しい(!)18世紀のものだそうです。

            
           マヨール広場と町役場           Nuestra Senora del Azogue     San Cayetano church 

 古代ローマ教会Nuestra Senore del Azogueはお昼休み、San Cayetano churchは通常閉まっているとのことで、中を拝観することはできませんでした。天気もよくて、いよいよ日差しが厳しくなってきましたが、爽やかな高原の風が吹いて、実に心地よいです。
 教会を通り過ぎ、丘を登りきると、お城があります。
 その前庭に、見覚えのあるものがありました。
 ホタテ貝のレリーフです。
 まごうかたなきサンティアゴ巡礼の道しるべです。

    
   サンティアゴ巡礼のシンボル、ホタテ貝のレリーフ
 
 この碑の前には古風なブロンズ細工の水飲み場があります。巡礼者たちは、ここでも喉を潤し、疲れた体を休め、再び立ち上がって歩いて行ったのでしょうか。
 本当にこのホタテ貝をあちこちで見るものです。聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラに近づいてきたということでしょうか。それにしても信仰が広く、深く、この国に浸透しているのだなあと思いました。もちろん、宗教で人が集まれば、商売も繁盛するというものですが。

 貝のレリーフの反対側にはお城があります。丘の上のお城は15世紀に建てられたもの。
 見上げるばかりの城壁です。圧倒的な石の質量、伝わりますか? 
 高台から国境を監視する堅牢な城塞という感じです。
 残念ながら、ここもお昼休みで閉まっていました。 


真ん中の黒っぽいのが入口     普通の民家と比べるとこんな迫力  お城と教会の鐘楼。すぐ近くです   お城の前庭からの眺め 

 少し休憩することにしよう。
 ただ今の時刻は午後3時半。マヨール広場へと戻りつつ、シエスタ中でも開いていそうなお店を探します。
 POSADAと書かれた看板の立つ、可愛らしい家がありました。LA POSADA DE LA PUEBLA DE SANABRIAと書いてあります。カフェテリアは営業している様子です。早速入ってみました。

                   
                    こんもりとしたお花がかわいらしい   店内は田舎風

 入って正面に階段があり、1階がカフェ、2階が宿になっているようです。
 カウンターで迎えてくれたのは、どう見ても中学生の男の子。しばらくすると、お姉ちゃんらしき女の子もカウンターに入ってきました。奥ではお母さんらしき人が仕込みをやっているみたい。家族経営なのかな。
 彼は見慣れない東洋人のオーダーもちゃんと聞いてくれて、オレンジジュースを出してくれました。お会計の時も分からないと思ったのか、英語で3ユーロ、と言ってくれました。
 カウンターの周りにはいくつかテーブル席があります。夜にはお食事もできるのでしょう。家族経営のようですが、お掃除もインテリアのセンスも、隅々まで行き渡っている印象。お部屋もきっと可愛らしくてキレイなんだろうなと思わせます。語学力があるなら、こんな宿に泊まって、宿の家族とお喋りしてみたいものです。

 のんびりしていたいところですが、まだまだ先を急ぎます。
 次回は、是非パラドールに泊まって、氷河期の湖や降るような星空を見てみたいものです。

                             
                                Puebra de Sanabriaへ向かう橋


■AC Villa de Allariz

 ロシナンテ号はA-52、Auto Via de las Rias Baixasを順調に走ります。
 空はいよいよ水色になり、左右の景色には岩肌が目立つようになってきました。
 ガリシア地方に入ったのです。

 Galicia(ガリシア)州は、イベリア半島の北西部に位置し、カンタブリア海と大西洋という二つの海の恩恵にめぐまれた自治州です。北にカンタブリア海を臨み、東はアストゥリアス、カスティーリャ・イ・レオンと境界を接し、南はポルトガルと国境を接し、西は大西洋に面しています。
 ガリシアの海岸線には、切り立った断崖と「リアス」と呼ばれる多くの入り江があります。
 北がリアス・アルタス(高リアス)、リアス・バイシャス(またはリアス・バハス=低リアス)と呼ばれています。この旅の最終目的地ヴィーゴは、リアス・バイシャスにある町です。この二つのリアスの間には、ア・コスタ・ダ・モルテ(A Costa da Morte死の海岸)や、ゴルフォ・アルタブロ(Golfo Artabro)と呼ばれる入り江群があり、明日向かう予定のア・コルーニャはゴルフォ・アルタブロにあります。

                   
                    右側は岩肌                ガレ場のような土地

 Puebla de Sanabriaを出てから1時間ほどで、Allariz(アヤリス)の看板を発見。出口202でA-52を降りました。
 ちょっと心配になるくらい道幅が狭くなりましたが、山の中の道はわりに車通りがあります。前の車についていくようにして、迷わずN525に入りました。
 ところで、いつもそうなんですが、町から町の移動ってそんなに迷わないんですよね。
 つまり、問題は町中なんです。
 アヤリスの町には入れましたが、地図がありません。よって、ホテルがどこに建っているのか、分からないのですよ。ACホテルのステキなサイトのステキにモダンな地図では、目の前で湾曲している川っぺりに建っているということ以外、ぜんっぜん位置関係が分からんのです。
 とにかく、マチルダの勘により、町の中心部から川に降り、川っぺりの公園の前で一旦停車しました。
 いや、それまでも、まずどっちに川があるのかも分からなかったので、マチルダがたびたび外に出て確認してくれました。
 でも、そこから先はとうとう行き詰まりました。
 インフォメーションはあるけど、まだ開いてない。
 シエスタ中はあんまり人も歩いてないから、尋ねることもできない。
 うーん、困ったなあ。
 公園の駐車場が空いていなかったので、他の車にジャマにならないよう、適宜ロシナンテを動かしている間、マチルダは外でいろいろ頭をひねっていました。
 ようやく1台出て行ってくれて、ロシナンテを無事に駐車できた時には、マチルダの姿は消えていました。
 おや? インフォメーションが開いてる。
 ややあって、マチルダが地図を片手に戻ってきました。彼女は開いたばかりのインフォメーションに飛び込み、果敢にもACホテルの場所を聞いてきてくれたのです。

 「この先の川沿いの道を右折して進めばACホテルがあるってー」
 良かったー、助かったー。

 しかし。
 事は容易に進みませんでした。
 その「川沿いの道」が見つからんのです。
 これかも、というとこまで行って曲がったら、いつの間にか町の外に出て、ハイウェイに乗ってしまいました。
 おやあ?
 ロータリーでUターンして、もう一度トライ。
 右側をよーく見て、右折して……なんか田舎道に出てしまいました。これ以上進むと人の畑に突っ込みそう。
 ううむ。また違うのか。
 何度やってもダメそうなので、もとの公園に戻り、再度インフォメーションに尋ねることにしました。

 公園が見えてきて、ねもはふと横を見ました。
 ん?
 「……もしかして、あれ?」
 確かに川のすぐそばに、地図上の立派な道路とは似ても似つかない、細い歩道のような道があったのです。
 ていうか、遊歩道だと思って見逃していた道があったのですよ。
 急いでマチルダが確認に行ってくれます。
 「一方通行だけど、 Paseo Da Alamedaに間違いないよ!」
 うひゃー、ここ、車が入る道だったのかー。
 民家の私道みたいな遊歩道には、確かに一方通行のマークがあります。
 道幅は本当に車1台分、こわごわ進みます。反対側からスーパーの袋を提げたおばあちゃんが歩いてくると、思わず停まって譲ってしまいます。
 そろそろと車を進めていくと、不意に視界が開けました。
 左手には芝生の広場。右は川を挟んで、池があり、大きな木も生えている公園です。

 あああ、あった~。着いた~。

 芝生の上には、サイトで見たとおりのAC Villa de Allarizが、ゆったりとした敷地に建っていました。


川側からの眺め           建物の奥に宿泊客用パーキングがある   正面玄関             レセプション奥のラウンジ
                             

 駐車場は、芝生をぐるっと回り込み、建物の右側、エントランスのすぐ横にあります。平置きで、段差もほとんどないので、荷物の移動もとても楽です。
 正面玄関を入ってすぐのデスクがレセプション。パソコンやデスクライトがデスクに置いてあって、レセプショニストも事務椅子に座っていて、どこかのモダンなオフィスのようです。カウンターと違い、低いデスクは威圧感もなく、気軽に声を掛けられます。綺麗な英語で対応してくれ、すぐに部屋に案内してくれました。
 レセプション奥には、モダンながら暖かい雰囲気のラウンジスペースがあります。こんな場所で、日がな読書でもできたらいいですねえ。
 部屋番号は、カードキーを入れる黒い紙のケースに、銀色のペンで書いてくれます。
 カッコいいですねー。

                             
                                部屋番号は118号室

 部屋は118号室。日本式の2階で、レセプションからも近くて便利な場所でした。


部屋の中から入口ドア方向      ベッドはいつものACスタイル     シャワーブースは独立している   ゆったりとしたバスタブ

 お部屋は広め。主張しないカラーのミニマムな家具が控えめに配されているので、実際の面積より広く感じるのかも。テレビ、オーディオ(バングアンドオルフセンの!)、セイフティボックス、ミニ冷蔵庫がありました。
 水周りは広くはないものの、バスタブはゆったり。シャワーブースは独立しているので使いやすそう。おトイレも清潔でぴかぴかです。ふわふわタオルは大小揃ってます。バスローブ、ふっかふかスリッパもあり。
 アメニティは、ACホテルにはどこでも置いてあるゴルフボールみたいな石鹸(洗いにくいけど香りがいい!)、シャンプー、ボディジェル、ボディローション、歯磨きセット。たしか、リビングの引き出しにはソーイングセットもあったと思います。
 全体にACホテルらしい焦げ茶ベースのモダンなつくり。シャワーブースのグレーのタイルが素敵でした。
 山小屋ぽいデザインの窓枠からは、来た時に通ってきた芝生が見え、その先にアルノイア川と公園が広がります。
 田舎の山の中だったらちょっと困るなあと思っていましたが、町はすぐそばで意外に便利そう。公園の散策も気持ち良さそうです。

                   
                    窓からの眺め。道路の向こうは川  1階のレストラン

 やっぱりACさんはいいなあ。サイトで見たとおり、それ以上のお部屋と環境です。
 ここまでやって来て良かったあ。

 しばし休憩の後は、本日のメイン、スパでございます。

                             
                              スパ入口。ホテル玄関と向かい合っている

 ただ今のお時間は午後7時。この日は夜10時までの営業ということなので、本日はスパのみ! 町の観光は明日! ということにしました。
 スパは宿泊者のみ利用でき、お一人さま23.06ユーロ(税別)。少々お高い気もしますが、ここまで来たのは温泉につかるため。こんなとこでケチるわけにはいきません。

 中は写真撮影禁止。なので残念ながら写真はありません。
 玄関の自動ドアを入ると、カウンターではとっても感じの良いスタッフが迎えてくれます。
 ふかふかのタオルに、エステや温泉なんかでよく見る組み立て式のぞうりと、スイミングキャップ、クレンジングをセットして渡してくれました。と、同時にお姉さんが何かのスイッチをオン。ぐおーんと音がして、水が弾ける音が始まりました。
 ええっ、もしかして、ねもたちだけなの???
 水着に着替えて行ってみると、あれま、誰もいません。
 誰もいないプールで、ものすごい勢いで泡がぶくぶく立ってます。
 ねも、初めて知りましたが、こういうとこに一人で入るっていうのは、なんだか不安なものなのですね。マチルダを待って、シャワーを浴びてました。
 スパは地上2階、地下1階。エレベータで昇降できます。
 温水プールには、各種ジャグージスペース、打たせ湯などがあります。他にドライサウナ、ミストサウナ、シャワーブースがあり、フィットネスセンターやエステを受けられるお部屋もあります。
 水温は低め、しょっぱい温泉水です。
 しかしですね、プールは水流が激しい。これはスペイン人の好みなのでしょうか。それとも二人しかいないからなんでしょうか。打たせ湯なんて、うっかりしてるとパンツ脱げます。ジャグージスペースも総じて泡が強め。ウォーターマッサージ用の水圧も尋常じゃありません。ものすごく激しいスパです。ゆったりくつろぐ、というより、積極的に疲れをとりましょうっ! てアクアビクスやらされる感じです。マッサージは強めが好きなねもは、面白かったですけどね。
 サウナの横には小さな部屋があって、製氷機が置いてあります。モザイクタイルの洗面台に時折氷のかけらが落ちてきて、洗面ボウルに小さな氷の山ができてます。氷のかけらはつるんとしていて小さいので、手で掬って熱くなった体に撫でつけるととっても気持ちいい~。
 全ての施設をひと通り試してからプールサイドのサンベッドに横たわると、体もすっかりほぐれていきます。
 2階では氷のかけらがカラン、カランといい音をたてています。
 ああ、極楽じゃ。
 ……もう夜だし、ご飯も食べに行かなきゃ。
 でも、もうここから動けない。気持ち良すぎ。

 この後、二人以外の他のお客さんは、たった一人しか現れませんでした。
 こんなに気持ちいいのに、、勿体ない。風呂好きニホンジンにはたまらんよ。旅の疲れも吹き飛ぶよ。温泉サイコーだよ。
 結局二人は営業時間終了ぎりぎりまでスパを堪能したのでした。

 部屋に戻ると、お腹が空いてきました。
 でも時刻は午後10時過ぎ。レストランもラストオーダー終わってます。
 さすがに疲れたので、外に出る元気もありません。
 となれば24時間対応、ルームサービスで対応してもらいましょー。

                   
                    ルームサービスの品々。なんてボリューム

 疲れたと言いつつ、またたくさん注文するふたり。
 本日のスープ、クラブハウスサンド、ACバーガー、アイスクリーム盛り合わせにNew Yorkチーズケーキwithラズベリーソース。しめて47.66ユーロ。
 本日のスープは、電話で説明してくれたけど、ねものヒアリング力不足によりよく分かりませんでした。マッシュルームとかいろんなお野菜のポタージュという感じ。お腹に優しい味です。おいしかったけど、サンドイッチとバーガーを頼んでるのに、どうしてスペイン人はパンをつけるのか。おいしいけど食べきれないよ。勿体ないよー!
 クラブハウスサンドは、高カロリーながらねもの大好きなメニューです。パンはカリッ、お肉ジューシーで実に美味。どんどん食べられます。
 マチルダのACバーガーもお肉が厚くてボリュームばっちり。おいしかったようですよ。
 New Yorkチーズケーキwithラズベリーソースは、甘さ、チーズの濃さともにちょうどよくておいしかった。でも、カットがデカい。これだけで夜食になるってば。食べ切れませんでした。
 ……ていうか、夜中にこんなに注文するなよ……。

 窓を開けると、ひんやりした空気がとても気持ちいい。
 空には星がいっぱい。しん、として何の音も聞こえません。

 本日の走破距離は400キロ以上。
 無理してルート変えてでもここまで来て、本当に良かった。
 静かな夜と、ふかふかのベッドと、気前のいいスパと、中世そのままのロマネスクの遺構がある町。
 見たこともない景色と、嗅いだことのない清冽な空気と。
 ここが異国であることを、これほど感じる旅もなかったかもしれません。

 散々遊んで食べて、疲れ果て、いつ眠りについたのか分かりませんでした。
 明日は、西の果て、ア・コルーニャに向かいます。
23:48 2008spain | コメント(0) | トラックバック(0)
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